働き方改革の失敗にはパターンがある 試行錯誤の末に見えてきた「変革に欠かせない」5つのポイント:働き方改革を阻む「抵抗」「不安」「失敗」との戦い方(2/4 ページ)
「痛みを伴う取り組み」なしには成立しない働き方改革。そんな苦難の道にあえて挑戦し、長い年月を費やして新しい働き方にシフトしたのが地方の中小企業、NOKIOOだ。挫折と試行錯誤の末に見えてきた「働き方改革に欠かせない5つのポイント」とは……。
「働き方改革に欠かせない」5つのポイント
小川: :どうしてうまくいかないのか、なぜ、これほどまでに齟齬が生じるのか、なぜ組織が沈滞ムードなのか――といった課題を乗り越えながら、NOKIOOらしい働き方を模索する中で、ようやく軸となる考え方が定まってきました。
キーワードは「オープン」「コラボレーション」「性善説ベース」「やり方を小刻みに変える」「仕事をデジタル世界に置く」の5つです。
中でも「オープン」は、重要なポイントですね。社内の情報をオープンにするのはもちろん、自分の考えていることを相手にオープンにすること、役職や立場にかかわらず、情報を隠さずオープンにするのはとても大事なことです。秘匿性の高い情報以外は、どんどん公開するような仕組みに変えています。
オープンな環境があってはじめて、コラボレーションがうまく機能するようになります。社内に情報格差がなければ、役職や部署が違う人でも話のネタに困ることがありません。こうして信頼関係が生まれれば、性善説ベースでコミュニケーションできるようになりますから、離れた場所にいても過度な管理やコントロールをすることなく、社員が自走して仕事をするようになる。
そして社員それぞれが、もっといい仕組みや考え方を思い付いたらそれを共有し、アジャイル的に「やり方を小刻みに変えて」いけばいいわけです。「変える」というのは、決して「計画性がない」とか「物事を深く考えてやっていない」という話ではなく、「変えていくことが僕らの強み」という考えです。
あとは、「仕事をデジタル世界に置く」という観点で、働き方を変えていくことです。ここで重要なのは、「オープンであること」や「性善説で人と接すること」「コラボレーションをうまく機能させること」が先にあって、それを体現する上での手段として「仕事をデジタル世界に置く」ことができる――という点ですね。
沢渡: 確かに、働き方改革がうまくいかない組織の問題は、「残業抑制」「女性活躍」「在宅ワーク」などといった“細かな施策”だけが一人歩きしているところにあるんです。
働き方改革を考える際のスタート地点は、「未来に向かって自分たちの組織がどうありたいか」を考えることなんです。
これはまさに、組織のブランディングの話ですよね。「われわれの存在価値はここにあって、ここを目指すからこういうやり方なんだ」というビジョニングからスタートして、そのビジョンに共感する人を時間を掛けて採用する。
それと同時に、「志を同じくする外の人」と積極的にパートナーシップを結んでコラボレーションし、共創関係を広げていく――。ここがうまくいっている会社はブレないですよね。ここまで来れば、性善説ベースのマネジメントが機能するようになります。
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