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働き方改革の旗手、白河桃子と沢渡あまねが対談! ――会社を滅ぼす「仕事ごっこ」をやめる方法“昭和の常識”が会社を滅ぼす(1/4 ページ)

働き方改革が国策になって久しい中、なぜ、日本の働き方はいつまでたっても変わらないのか――。本質的な改革とは程遠い「仕事ごっこ」がはびこる日本企業の現状と、令和の時代にふさわしくアップデートする方法について“働き方改革の旗手”の二人に大いに語ってもらった。

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 日本の職場に今、なお残る時代遅れの働き方やビジネスマナー、もはや必要ないルーティンワークに過剰なマネジメント――。それらをシニカルな童話形式で紹介するとともに、その具体的な問題点を指摘する書籍『仕事ごっこ』(技術評論社)が話題になっている。その著者が、ワークスタイルや組織開発を専門とする沢渡あまねさんだ。

 そんな沢渡さんに対談を持ちかけたのが、政府の働き方改革実現会議の委員を務め、ジャーナリストとして日本の働き方改革の光と闇をつぶさに知る白河桃子さんだ。

 働き方改革が国策になって久しい中、なぜ、日本の働き方はいつまでたっても変わらないのか――。本質的な改革とは程遠い「仕事ごっこ」がはびこる日本企業の現状と、令和の時代にふさわしくアップデートする方法について“働き方改革の旗手”の二人に大いに語ってもらった。

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著書『仕事ごっこ』が好評な沢渡あまねさん(画面=左)と、政府の働き方改革実現会議の委員を務め、働き方改革の講演で年間100登壇するジャーナリスト白河桃子さん(画面=右)の対談が実現

“いまだ昭和な会社”にはびこる「仕事ごっこ」とは

白河: 『仕事ごっこ』、とても楽しく読ませていただきました。私は企業の働き方改革の事例はたくさん知っていますが、具体的なノウハウを説く本というのは意外と少ないと感じていて。そんななか、この本は素晴らしい内容でした。

沢渡: ありがとうございます。

白河: 私も、「仕事ごっこ」をやめないと働き方改革なんて絶対ムリだと思うんです。例えば、本に登場する「zip圧縮ファイル+パスワード別送」をやめてくれ! という話は、Twitter上でもとても盛り上がっていましたね。

沢渡: パスワード付きのzip圧縮ファイルとパスワードを別々のメールで送るやつですね。

白河: 細かいことだけど、ああいうことが結構重要ですよね。

沢渡: あれは、ファイルを圧縮したり解凍したりする時間と手間ももちろんですが、届くはずのパスワードが送られてこなくて悶々と待つとか、ファイルを使おうとしたときにパスワードのメールを探す手間がかかるとか、そういったことで集中力が途切れることも大きな問題なんですよ。思考が分断されて、本来の仕事に戻るまでに時間がかかってしまう。

 今、ABW(Activity Based Working)といって、仕事の種類や内容に応じて最も生産性が上がる環境を選んで仕事しましょう、というテーマがグローバルの主流になりつつある中で、全く逆行している。まさに「仕事ごっこ」です。

白河: zipにするのをやめてほしいとお願いしても「それは無理なんです」という会社が本当に多くて。「仕事ごっこ」が仕組みとしてしっかり定着してしまっているんですね。

沢渡: 日本は、「何でもかんでも秘匿性が高い」と考えがちなところがあります。進んでいるところは、どんどん情報をオープンにすることで良い人材が集まったり、新しいアイデアが生まれたりしているんですけどね。これからの時代はコラボレーションとイノベーションの時代です。社外だけでなく社内でも異なる部署の人同士がコラボレーションして新しいビジネスを生んだり課題解決をしていくことが求められています。そういう動きを邪魔するものは全て「仕事ごっこ」なんですよ。

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白河: 本の中にもたくさん例が出てきますが、コラボレーションをしようにも「持ち帰って検討します。2週間待ってください」みたいなことだと、相手の時間を無駄に使うばかりです。そうしている間に相手は去っていきます。

沢渡: おっしゃる通り。社内外で正しくコラボレーションして価値を生んでいくためにどう変わるのか、それを真剣に考えてないと、人材は流出し、マーケットからおくれをとり、世界から取り残されます。

白河: 取り残されないようにするには、今変わるしかない。先日ある調査結果を見たら、働き方改革がこれだけ言われるようになって、皆さんの時間に対する意識は上がっているんですね。それ自体は素晴らしいことなんです。ただ、時間は有限だという意識は強くなっているのに、仕事のやり方が変わっていないからつらい思いをしている人がたくさんいるようです。

 皆さん「こんなに仕事が多いのに帰れないよ」って言うんだけど、その仕事の中にはかなりの「仕事ごっこ」が含まれているような気がします。やっている人はなかなか気付かないんですけど。

沢渡: 「仕事した感」にだまされているんですね。

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