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デザートを先に食べるイスラエル人に学ぶスピード経営イスラエルに学ぶビジネス(4/5 ページ)

それなりの肩書のある(権限のありそうな)日本企業幹部が海外ベンチャー企業を訪問し、その独自技術や強みの説明に興味を持ったとしても、その場で提携やPOC(Proof of Concept、日本的にはトライアル)へ進むことを意思決定する人はほぼいない。大半が「持ち帰って検討する」という反応を示すことは、シリコンバレーだけではなく、イスラエルでもよく聞かれる「日本あるある」である。

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失敗経験のない起業家と、3回失敗を経験した起業家、どちらに投資するか

 イスラエルとの比較においてもう1つ気がつくことは、イスラエルと日本とで「失敗」に対する評価・考え方が大きく異なる、という点である。

 日本では、「失敗」はあまりポジティブには受け止められない。大企業や官公庁の人事評価でマイナスがつくと、なかなかそれをリカバリーする機会を得ることはないだろう。そのため、新しい挑戦に失敗してマイナス評価を得るよりは、何もしないで平穏無事に過ごし、加点もないが減点もないことを選択するサラリーマンがいることは不思議ではない。

 冒頭の事例でも、投資に関連した事前の調査や検討に時間をかけ、失敗するリスクを最小化する努力をすることは、日本人としては当たり前かもしれないが、イスラエル人からみれば、判断に時間を掛けることは「機会を逃すというリスク」なのである。

 また、イスラエルの人々は Fail Fast, Learn Fastと言い、「失敗をした人ほど、多く学んだ人である」と考える傾向がある。例えば、失敗経験のない起業家と、3回失敗を経験した起業家が、それぞれ新規事業を興した場合、イスラエルの投資家は必ず3回失敗を経験した起業家へ投資するという。

 多くの失敗を経験したということは、より多くを学んだことを意味するので、今後の成功の確率が高いと彼らは考えるのである。日本の投資家は、果して3回失敗した起業家へ投資するだろうか? このように、イスラエルでは失敗経験はポジティブなものとして受け止められる文化があるため、イスラエル人は失敗を恐れることはあまりない。その結果、その時々での最善の判断をし、そこで問題が出たら修正をすれば良いと考える。それが彼らのスピードにつながっていくのである。


ローマ軍によりエルサレムが陥落したのち、967名のユダヤ人が籠城した要塞。2001年にユネスコの世界遺産に登録された。(写真提供:ゲッティイメージズ)

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