経歴不問、年収青天井で「転職を考えていない人」を狙ったKDDIのイノベーション人材採用 担当者に狙いを聞いた:20代から50代まで、官公庁勤めの人からも応募(3/3 ページ)
KDDIが発表した「イノベーション人材採用」。国籍や年齢の制限がなく、支給する給与も“青天井”だという。今回が初めてではなく、2018年にも1人を採用している。どういった狙いを持った採用なのか。担当者に聞いた。
新卒向けに新設した「WILLコース」
イノベーション人材採用以外にも、KDDIはさまざまな人事制度改革を行っている。例えば、「WILLコース」はその1つだ。これは新卒を対象に、初期配属を希望の部署に確約するコースだ。これまでは「総合職」として採用し、入社後に適性を見て配属を決めていたが、WILLコースであれば希望通りの部署へ行くことができる。
秋津氏は「若手の離職率が上がってきているのは否めない」と背景を話す。「『これをやりたい!』と強い思いを持って入社する人も多い。こうした人たちに応えたいと思い、コースを新設した」と秋津氏。文系、理系を問わずさまざまなポストを用意している。今後はWILLコースにひもづくインターンを増やしていきたいという。求職者に対しては、「自分のやりたいことができそうだし、応募してみよう」という効果を及ぼすだけではなく、採用する側も「自分の部署に来る人なんだな」という考えを持ち、より真剣に面接などに臨むというよい効果も出てきている。
また、19年からは、専門性を持ったスペシャリストとしてキャリアアップしていくコースを新設した。従来は一線を離れ、管理職としてキャリアアップしていくのが基本だった。どういったキャリアパスを選択するかを個人にゆだねることで、自律的かつ責任感を持ったキャリア構築を促進していく。
他にも、イノベーション人材と似たもので「革新担当部長」というポストの採用も行っている。これは、新規事業を「担当者」として引き受けるイノベーション人材とは異なり、部門の責任者として事業戦略の推進を担うポストだ。
このように数々の改革を実行する裏には、18年に社長へ就任した高橋誠氏の意向もある。「高橋も、人事の重要性は重々感じているようで、新たな中期経営計画には初めて人事計画が盛り込まれた」と秋津氏は話す。
20年には5Gが商用化があり、KDDIにとっては大きな追い風になるはず。新たな人事制度とともに、どのような成長軌道を描いていくのだろうか。
関連記事
- 課長の平均年収は932万円、部長は? 外資との「格差」も明らかに
日本で活動する企業の報酬状況が発表。日系企業と外資系企業合わせて679社が参加した。調査結果では課長職や部長職の平均年収も明らかになった。日系企業と外資系企業の報酬格差も合わせて発表し、特に役職者以上で顕著な開きがあった。 - 「カード決済の場合には手数料をいただいております」、本当は違法? 知らなかった意外な事実
居酒屋などで、クレジットカードの決済手数料をお客に請求する店がたまにある。この手数料に関するツイートをきっかけに、「知らなかった」「違法なのでは?」といった反応が起こっている。手数料を請求することは違法なのか? 各カード会社の規約を見てみると……経済産業省にも聞いた。 - いきなり!ステーキ大量閉店の裏で着々と牙を研ぐ「やっぱりステーキ」の不気味な存在
いきなり!ステーキが急ブレーキしている。出店計画を見直すとともに、44店舗の閉店を決定。売り上げも大きく落ち込んでいる。その裏で注目を集めているのが「やっぱりステーキ」という店だ。名前こそ似ているが、単なる「パクり」で片付けるのは早計か? - 初任給18万円、かつ“職務経験”を考慮して決定 厚労省の「氷河期限定採用」は苦しむ世代の“氷山の一角”も救えない
厚生労働省が「就職氷河期世代採用選考」を実施する。2020年5月採用として、12月25日〜20年1月10日の期間で申し込みを受け付ける。一般行政事務職として、10人ほどの採用を予定する。初任給は「月額18.2〜27.4万円」で、職務経験により変動する。 - 育児を全くしないパパの割合は? リアルな家事育児状況が調査で明らかに
連合が、働く父親に関する家事や育児状況の調査結果を発表。育休取得率は7.2%にとどまり、「全く育児をしない」人は13.5%も存在している。行っている家事については「ゴミ出し」が最も多かった。労働時間が短いほど、家事や育児に積極的になる傾向にあるようだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.