これからのSNS運用で必要なものがケロッグ、バーガーキングの成功事例から見えてきた:企業SNS「中の人」がいま考えるべきこと(2/3 ページ)
SNSは、今や必要不可欠な存在となっている。企業側も、マーケティング手法の一環として活用するのが当たり前の時代になってきた。消費者との新たな関係性を築ける一方で、いわゆる「中の人」がトラブルになったり反感を買ったりしてしまうケースも。電通メディアイノベーションラボ主任研究員を務め、SNSに詳しい天野彬氏は、これからの企業SNSは「ファスト」になるべきだと解説する。国内外の成功事例をひもときながら、解説する。
「ファスト」なSNS運用の成功事例
これからのSNSでのコミュニケーションを占うために、広告やコミュニケーションに関する「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル」に18年から新設されたソーシャル&インフルエンサー部門の最新の結果を参照してみましょう。
この部門は、誤解を恐れずに言えば「SNS」部門です。そして、19年のアワードの結果をひもとくと、「ファスト」というキーワードが浮かんでくるように思います。広告とファストとの組み合わせは、人々や世の中の関心事にいかにブランドとして反射神経よくコミュニケーションを返していくのか、が「話題」の醸成と切り離せなくなっているということを意味します。
(コミュニケーション巧者としてカンヌではおなじみの)バーガーキングの事例は、まさにファストなコミュニケーションそのものです。
あるとき、世界の頂点にいながらお騒がせ者ラッパーとしてウォッチされているカニエ・ウエストが「俺の一番好きな店はマクドナルドだ」とツイートしました。そこでバーガーキングはすかさずそれを引用リツイートの形で拾って「Explains a lot(あーなるほどね)」と返しました。すなわち、「マクドナルドが好きだからカニエは奇行が多いのね」という風刺になっているわけです。
このわずか3つの単語だけで構成されたツイートは、自社はもちろん企業アカウント全体の中での「いいね!」数の最高記録を更新したといわれています(参照:Coolr調べ)。世の中の人々が漠然と思っていたことを見事に突いたからだといえるでしょう。人々がカニエをどう見ているのか、またカニエがどんな発信をしているのか、しっかり「Monitor」しているからこそ可能になった施策です。
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