実は“時代遅れ”じゃなかった 低迷していた明治の牛乳宅配はなぜ再成長してるのか:乱立するサブスクビジネス 成否のカギを探る(2/5 ページ)
スーパーやコンビニの台頭で低迷していた明治の牛乳宅配。「宅配専用の機能性商品の開発」と「宅配販売店の営業力強化」で再成長。どういった点がお客に支持されているのか。
宅配専用の商品開発
1984年、明治は初めて宅配専用の「明治ラブエース」を開発した。カルシウムや鉄分などを含んだ乳酸菌飲料で、当時のビンに入った牛乳より10円高い価格設定だった。
1993年には「明治のびやかCa牛乳」を発売した。これはカルシウムを強化した宅配用牛乳で、大ヒット商品になった。さらに97年には鉄分を強化した「明治のびやかFe」を投入。こちらも売れ行きが好調で、業績の回復に寄与した。お客のニーズを分析した結果、「摂取したい栄養を絞り込み、とがった商品を投入する必要があると判断した」(小池氏)という。これらのヒットの結果、業績は上向き、新規の販売店の数も増えていった。
98年には新しい宅配用のビンを開発した。当時の宅配サービスの年間売り上げに相当する額の大規模な投資を実行。紙のキャップをなくし、シュリンクフードとポリキャップを採用した。さらに、ビンも軽量化した。これは異物混入を防止し、「安心・安全」をアピールするための工夫だ。
2000年には「明治プロビオヨーグルトLG21」を発売。これは、すでに市販されていたLG21ブランドの宅配用ヨーグルトという位置付けだ。LG21は「胃で働く乳酸菌」がコンセプトで、明治独自の乳酸菌研究から生まれた商品である。市販用は112グラムだが、宅配用は85グラムにしている。
2002年には「明治プロビオヨーグルトLG21 ドリンクタイプ」を投入。これは、LG21ブランドで、宅配専用の小型ビンに入った飲むヨーグルト。市販用は112ミリリットルだが、宅配用は100ミリリットルになっている。宅配用の量を若干減らしているのは、無理なく毎日飲みきってもらうことで、“健康習慣”を継続してもらう狙いがある。また、少ない量でも満足できるように、宅配用の商品はコクを増している。
その後も「明治プロビオヨーグルトR-1」や「明治プロビオヨーグルトR-1ドリンクタイプ」、カルシウムと鉄分を強化した宅配用乳飲料の「明治ミルクで元気」、コラーゲンを摂取することを目的にした宅配用乳飲料の「明治うるおうコラーゲン」などを相次いで投入している。
かつては鉄分やカルシウムをアピールすれば支持されたが、現在は消費者のニーズが多様化しており、そういったトレンドにも対応したラインアップにしている。
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