Uber Eatsに負けないために老舗の出前館はどのようなサイト改修を行っているのか:競争が激化(2/2 ページ)
食品宅配市場が急成長している。Uber Eatsの上陸で出前館は危機感を強めている。認知・集客のカギであるサイト改修をどのようにしているのか。
検索上位に出てくるための施策
出前館の強みは、利用できる店舗数の多さ・店舗網の広さだ。ガストやバーミヤンなど2万店以上ある。検索エンジンで「地域名(例えば福岡県久留米市)+デリバリー」と検索すると、出前館のサイトが上位に出てきやすい。その強みは温存しつつ、今後は、別の方面でもSEO(検索エンジン最適化)を強化しようとしている。例えば、「商品名(例えばピザ)+デリバリー」や「チェーン名(例えば吉野家)+デリバリー」といったところだ。
これまで、出前館ではピザや寿司のオーダー数が多かった。ハレの日に親戚が集まる場で利用されていた。しかし、日本に上陸してきたウーバーイーツは、毎週食べても飽きないようなファストフードや定食チェーンとの提携を強めている。もちろんこの分野も出前館では扱っているが、利用者数を増やすためには日常食の強化が欠かせない。
出前館は19年4〜6月にかけてサイトのトップページを“なくす”という作戦に出た。厳密には、初めて出前館のサイトを訪問した際にはトップページが出てくる。しかし、2回目以降に訪問した場合にはトップページは表示されないようになった。サイトを訪問するといきなり店舗一覧がずらりと並ぶようになっている。これは、サイトの訪問者に注文してもらう割合を高めるための工夫だという。
鈴木氏は出前館で働く前、ファッションや日用品のECサイトを手掛けてきた。そういったサイトと出前館の違いは、購入意欲の高さだという。ファッションのECサイトでは、「いい服があれば買いたいな」くらいの気持ちの訪問者が一定数いる。しかし、出前館の場合は「お腹が減ったから、すぐに注文したい」と考える訪問者の割合が高いという。空腹になっている利用者がイライラしないように、注文が完了するまでのクリック数を少しでも減らすことなどが重要になる。
競合に負けないため、出前館のサイト改修は着実に進んでいる。
関連記事
- 「なぜ売れるか分からない」 ドンキ化したファミマの人気商品に幹部が困惑
ドン・キホーテのノウハウを取り入れた共同実験店が6月にオープンした。店舗の売れ筋商品を分析したところ、ある商品が上位に食い込んだ。ファミマの幹部は「なぜ売れるのか分からない」と原因を分析しきれていない。 - 「どさん子ラーメン」は今…… 急成長から衰退までの経緯と復活のシナリオに迫る
札幌みそラーメンの“伝道師”として急成長した「どさん子ラーメン」。かつては1000店以上を展開していたが、マネされるのも早かった。“衰退”したと思われている一方で、復活に向けた動きもある。 - レゴランドってそんなにひどいの? 家族を連れて行ってみた
「隣接する商業施設からテナントが撤退」「水筒の持ち込み禁止」などのニュースで注目を浴びているレゴランド。ネット上では酷評する声もあるが、実際はどうなのだろうか。記者が家族を連れて遊びに行ってみた。 - すき家の新型レジに「非常に残念」と客が苦言? 何がダメだと考えているのか
すき家の「セミセルフレジ」を利用したと思われるお客の投稿が話題に。お金の受け渡し行為がないことを残念がっている。すき家で導入が進むセミセルフレジとは? - 松屋の魅力は券売機!? 人手不足時代に吉野家とすき家が導入しない理由とは
大手牛丼チェーン3社のうち券売機を導入しているのは松屋だけだ。生産性向上の切り札である券売機を吉野家とすき家は導入していない。各社に見解を聞いてみた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.