午後の紅茶、3年ぶりに過去最高 「甘くない」選択肢で“共感”呼ぶ:紅茶市場は7年ぶり拡大(2/2 ページ)
キリン「午後の紅茶」が3年ぶりに過去最高の販売実績を更新。「甘くないミルクティー」を提案する新商品がヒットした。19年は大手飲料メーカーが相次ぎ紅茶の新商品を投入。市場が活性化する中、さらなる成長を目指す。
午後の紅茶に「オレンジティー」投入
キリンは20年もトップブランドとして市場成長のけん引役となることを目指す。好調な「ザ・マイスターズ」をシリーズ化するため、3月17日には新商品「ザ・マイスターズ オレンジティー」を発売。「甘くない微糖」という価値はそのままに、オレンジの香りを加えて“大人のためのオレンジティー”に仕上げた。また、「ザ・マイスターズ ミルクティー」のリニューアルも実施する。
マーケティングにはブランドの社会的存在意義を重視する「パーパス・ブランディング」を取り入れて、成長を目指す。午後の紅茶の場合は、「『幸せの紅茶』をテーマに、お客さまの毎日に喜びのある瞬間を生み出す」ことを目的に事業展開しているという。マーケティング部部長の山田雄一氏は「従来は機能性などの訴求を重視していたが、それよりも『なぜ存在しているか』『何をやっているブランドなのか』を伝えて“共感”してもらうための取り組みを重視する。これからは、共感性がお客さまの選択基準になっていく」と説明する。
20年の具体的な取り組み内容については「まだ公表できない」(山田氏)というが、これまでも実践してきたように、広告やSNS、小売店の売り場などを活用してブランドのメッセージを発信していくと考えられる。「顧客接点において、午後の紅茶の『ときめく』世界観を伝えられたら」と山田氏は話す。
キリンは20年も紅茶飲料市場が4%程度成長すると見ている。ロングセラーブランドならではの“紅茶の価値”を発信し、消費者に届けることができれば、けん引役としての地位をさらに固めることができるだろう。
関連記事
- 活気づく「紅茶」 背景に“個性”と“シーン”で飲み分ける選択肢
紅茶飲料の市場が活性化している。キリン「午後の紅茶」は上半期として過去最高の販売数量を記録。サントリーやコカ・コーラの新商品も好調で、さまざまな個性を持った紅茶商品が増えていきそうだ。 - 「午後の紅茶」躍進を支えたマーケティング
2016年に発売30周年を迎えたキリン「午後の紅茶」。節目の年に、初の年間5000万ケースの販売を達成した。その飛躍を支えたマーケティング施策とは……。 - なぜBOSSに「紅茶」なのか コーヒーの枠を超えた“働く人のニーズ”
サントリーのペットボトルコーヒー「クラフトボス」シリーズに「無糖紅茶」が加わる。なぜコーヒー以外の飲料をBOSSブランドで出すのか。そこには、クラフトボスの“強み”と「働く人の相棒」というブランドコンセプトを生かした試みがあった。 - コカ・コーラの「地域限定ボトル」が急増している理由
コカ・コーラの「地域限定ボトル」が外国人観光客などの人気を集めている。観光名所などをデザインしたパッケージで、26種類まで増えた。一気に広がったのはなぜか。担当者に開発の裏側を聞いた。 - 低迷していた「カルピス」が、右肩上がりの再成長を遂げた理由
2019年に100周年を迎える「カルピス」がいま、再び成長している。販売量は横ばいで推移していたのに、10年ほど前から右肩上がりに伸びているのだ。変わらない味のロングセラーブランドが再成長できたのはなぜだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.