管理職の業務・待遇、40〜50代の5割は「満足していない」 尽きない悩みの種は?:4割は「なりたくなかった」
インバスケット研究所が発表した調査結果によって、悩みが尽きない管理職の実態が明らかになった。40〜50代の管理職の2人に1人が現在の仕事に満足していない。「経営層からのプレッシャー」「部下の育成」に不安・不満を感じている人が多いことが分かった。
管理職には「経営層からのプレッシャー」「部下の育成」といった悩みが尽きない――。リーダー層に必要な能力を測定するツールを研究・開発するインバスケット研究所(東京都江東区)が1月27日に発表した「管理職の実態と本音調査2020」で、管理職が抱える悩みが明らかになった。40〜50代の管理職の2人に1人が現在の仕事に満足していないという結果も出た。
現在、管理職に就いている人に「管理職になりたいと考えていたか」と聞いたところ、37.5%が「なりたくなかった」または「どちらかというと、なりたくなかった」と回答。約4割が望まずに管理職に就いていた。
「現状の業務、待遇に満足しているか」という質問には、20代の管理職は84.7%が「満足している」または「どちらかというと満足している」と回答。それに対して、30代ではその比率が65.7%となり、40代は50.0%、50代は47.2%、60代は57.2%だった。40〜50代では約5割が現状に満足していないことが分かった。
管理職を経験した現在の不安・不満については、20代は「部下の育成」が38.5%、30代は「業務量の増加」が35.7%で、それぞれ最多だった。40代は「業務量の増加」「経営層からのプレッシャー」がそれぞれ45.7%で最多だったが、「部下の育成」も44.6%と多かった。50、60代は「経営層からのプレッシャー」が最も多く、それぞれ36.0%、40.8%だった。
部下の育成やコミュニケーションについて悩む管理職が多い中、「管理職になり部下と心の距離が遠くなった気がして、寂しいと感じたことはあるか」という質問には、70.7%が「ある」と回答。一方、部下の側に同じ質問をしたところ、73.5%は「ない」と答えた。上司だけが心の距離を感じているギャップが明らかになった。
【左】管理職になり部下と心の距離が遠くなった気がして、寂しいと感じたことはあるか? 【右】同期や先輩(後輩)が管理職になり、心の距離が遠くなった気がして、寂しいと感じたことはあるか?(=インバスケット研究所調べ)
部下が「理想の管理職」に求める要素としては、「適切な判断・対処ができ、頼りがいのある人」(39.7%)、「責任を持ってチームを引っ張ってくれる人」(34.2%)、「部下の意見や考えに耳を傾けてくれる人」(31.2%)が多い結果になった。
インターネット上で2019年12月16〜17日に実施した「管理職の実態に関するアンケート」(509人が回答)と「管理職の本音に関するアンケート」(504人が回答)の結果をまとめた。
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