社内向け動画を全世界へ発信 エン・ジャパンの「社内YouTuber」しみねえの挑戦:脱「お堅い会社」(2/2 ページ)
エン・ジャパンに「社内YouTuber」がいる。YouTuberはインフルエンサーとも呼ばれ、HIKAKINをはじめ、はじめしゃちょーなど認知度が高い人材も数多く生まれている。一方、エン・ジャパンのように社内向けの企画は数少ない。いったいどんな狙いで始めたのか?仕掛け人に聞く。
パーソナリティーは「しみねえ」
パーソナリティーを務める清水氏は、毎週のメールで自身のプライベートな話題や、身近な面白情報などをざっくばらんに紹介することから社内でも有名な人物。「しみねえ」を自称するように、キャラクター性が強く、YouTubeとの親和性も高いと判断した。
動画は、1本当たり5〜10分で、清水氏とゲストがフリートークをする。「ウェルカム エン・ジャパン」をコンセプトに、入社した人をメインターゲットに据えて、エン・ジャパン内でのキャリア構築の参考となるようにしているという。そのため、若手ではなく、基本的に社内での異動経験のある人をゲストに迎える。「苦労話やネガティブな内容は省き、視聴した後に『今週も頑張ろう!』と思える番組を目指している」(清水氏)
撮影はスマホ1台、場所も社内の会議室とコストはそれほどかかっていない。また、リテイクは原則なしだというが、動画のクオリティーは高い。社内からは「社員の顔や仕事の姿勢を知れるのは会社に馴染むスピードを上げてくれる」「自分がどうなりたいのか、どうしていけばいいのかをより具体的に考えるきっかけにもなりました」といったコメントが寄せられている。
こうした社内の反響や、外部に公開することのメリットを総合的に判断し、開始からわずか1カ月で社外にも公開することに。自らのキャラクターを強く打ち出した動画なだけに、葛藤はなかったのだろうか。清水氏は「葛藤は一瞬だけあった。ただ、思いのほか反響もあり、うれしく思っている」と話す。
これまでの放送の中で「神回」を聞いたところ、同社の鈴木孝二社長が出演した回を挙げた。「こういうのに呼んで、ラフな絡み方をしていいのかな? と思ったが、ノリノリで出演してもらえた」(清水氏)。これまでの動画の中でも、再生回数は最も多い。
動画は、チャンネルの登録者数と公開初日の再生回数を指標として週に1回、振り返りを行っている。「見て面白いだけでなく、移動しながら視聴してもらえるようなコンテンツにしていきたい」と清水氏は話す。
定年まで1つの会社に勤めあげるというモデルが崩れつつある中、それでも企業はあの手この手で従業員のエンゲージメントを高めるために試行錯誤している。しかしながら、YouTubeを使った手法は全国でも珍しいケースだ。しみねえが始めた取り組みは、これからどういう進化を遂げていくのだろうか。
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