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5Gは健康に悪影響を及ぼす? 歓迎ムードの裏で広がる懸念:世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)
2020年、日本でも5Gのサービスが始まる。東京五輪に向けて整備が進み、盛り上がっていきそうだが、海外では「5Gの健康被害」を懸念する声が出ている。反5Gのデモなどではどのような主張がされているのか。5Gは本当に危険なのか。
「危険とはいえない」という検証結果も
一方で、危険とは言えないという立場の人たちもいる。19年12月、米連邦通信委員会(FCC)は5Gに健康被害は認められないとして、電磁ばく露の制限を強化する必要なしとの判断を下している。また、11年には、WHO(世界保健機関)が、携帯通信の電磁波の健康への影響は「タルク粉や酢漬けの野菜」と同等しかないと宣言した。
事実、モバイル通信というのは何十年も使われているため十分な検証がされており、重大な健康被害はないことが確認されているという。ちなみに、携帯電話だけでなく、電子レンジが普及してからも同様の懸念は出た。
そんなことから、オーストラリアでは反対派が出してくるいわゆる「フェイクニュース」に対抗するために、政府が900万ドルの予算をつけてアンチ5Gの偽情報に対応すると発表している。しかも、米メディアによれば、アンチ5Gのフェイクニュースはロシアから大量にばらまかれているとも指摘されている。
日本でも、過去に電磁波の危険性を訴える活動団体が大きな話題になったことがある。白装束姿で、日本をキャラバンで移動してニュースになったパナウェーブ研究所だ。03年には、北陸で謎の生活をしているとしてメディアが追っかけ回したこともあった。電磁波から離れた生活をするために、携帯も入らないところで何十人もが集団生活をしていたが、自然消滅したとの話もある。
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