米国でじわじわ ビール会社が参入する「酔わない」ビジネス(2/4 ページ)
年末年始、お酒を飲む機会がたくさんあった――。そんな人が多かったと思うが、いま米国で「酔わない」ビジネスが広がりつつあるという。聞き慣れない「酔わない」ビジネスとは……。
キャンペーンが話題に
米国でドライジャニュアリーに参加するのは、約5800万人と言われているが、1カ月間禁酒に耐えるのは至難の業で、多くの人が途中で挫折してしまうという。
そんななかで、ドライジャニュアリーに目をつけたのは、大手ビール醸造会社のHeineken(ハイネケン)だ。同社は20年1月に、米国でユニークなプロモーションを行った。それは、19年に米国で発売したばかりのノンアルコールビール「Heineken 0.0」が31缶入った、スペシャルパッケージ「The January DRY PACK」を1000ケース限定で無料配布したのだ。
しかも、パッケージがアドベントカレンダー(日数を数えられるように、窓をひとつずつ開けていくカレンダー)のようになっていて、毎日1缶ずつ取り出して飲めるように工夫されている。1カ月間に及ぶ禁酒生活をサバイバルできるように考えられたキャンペーンで、話題になった。
かなり大盤振る舞いなキャンペーンだと思うが、これでもまだ序の口に過ぎない。ハイネケンは、ノンアルコールビールのカテゴリーでブランドの知名度を上げるため、年間を通してさらに1000万個もの無料サンプルを配る予定だという。
同社がノンアルコールビールのプロモーションに力を入れるのには理由がある。19年に米国で発売された「Heineken 0.0」は、初年度の販売目標を上回る100万ケース以上を売り上げており、ノンアルコールビール市場で11%ものマーケットシェアを得ることに成功している。
ビール業界全体でビールの販売量が伸び悩むなか、ノンアルコールビールはビジネス成長が見込めるカテゴリーとして期待されているのだ。
もちろん、ドライジャニュアリーに注目する企業は、ハイネケンだけではない。「Coors(クアーズ)」や「Miller(ミラー)」で知られるビール業界大手で、社名を変更したばかりのMolson Coors Beverage Company(モルソン・クアーズ・ビバレージ・カンパニー)も、いち早くキャンペーンを打ち出している。
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