「たばこは無言で買う時代」 セブンが実験店で掲げた“秀逸”すぎるコピーの意味とは?:お店最前線 来店してもらう仕掛けとは?(2/3 ページ)
セブンが実証実験を継続的に行う拠点がある。実際に行ってみると「たばこは無言で買う時代」というコピーがあった。どんな意味があるのか? 実際にたばこを買ってみた。
たばこの買い方に「この手があったか」
たばこの買い方にも新しい方式が導入されている。一般的なコンビニの場合、レジ作業をする店員の後ろにたばこを陳列する「じゅう器」が設置されている。しかし、この実験店の場合、白いロッカーのようなものが店員の背後に置いてある。
「たばこは無言で買う時代」
「たばこ販売中!!」
白いロッカーにはこんなポップがペタペタと貼り付けてある。また、レジの横にはやや大型タブレットが設置してあり、「たばこのご注文はこちらから」というポップが付いている。これらの情報を総合すると、一言も発することなくレジ横のタブレットでたばこを注文することができそうだ。
実際にたばこを購入してみることにした。レジの前に立ち、無言で大型タブレットを指さした。すると店員は「たばこのご注文ですね!」とハキハキ応対した。そして、白いロッカーの前に移動。両手を前に組んで、白いロッカーを見上げた。どうやら、注文されるのを待っているらしい。
記者はすかさずタブレットをタッチすることにした。画面左に「セブンスター」や「ラーク」といった銘柄名が出てきた。加熱式たばこも選べる。普段吸っている銘柄「ウィンストン」をタッチすると、さらに詳しいラインアップが表示された。ほしい商品を選択すると、ロッカーの扉のランプがピカピカと光り出した。店員がランプが光っている扉を開けて、たばこを持ってきてくれた。「これで間違いないですね?」と確認を求められたので、無言でうなずいた。確かに、言葉を発することなく注文ができた。
なぜこの方式にしたのか
なぜ、このような販売方法をしているのか。セブンの広報担当者は「お客さまの利便性向上と店員の省人化のため」と説明した。近年、外国人従業員が増えており、たばこの銘柄を全て覚えるのが難しくなっているという。また、お客にとってみれば、店舗ごとにたばこの陳列が異なっていたり、たばこの銘柄を識別するための番号が違ったりして、面倒くさく感じる。こういった課題を解決するために、実験店に導入しているという。
ちなみに、この販売方法にはある“アップデート”がされていた。記者は2019年12月、実験店の内部を外側からのぞき込んだことがある。その際、たばこのじゅう器には何のポップも付いていなかった。白くてピカピカしており、スタイリッシュな雰囲気を漂わせていた。しかし、店舗を訪れた20年1月下旬の時点で、ロッカーにはたばこを販売していることをアピールするポップがペタペタと貼り付けてあった。このような変更がされた理由について広報担当者に尋ねると「さまざまなテストの一環です」と回答した。
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