「たばこは無言で買う時代」 セブンが実験店で掲げた“秀逸”すぎるコピーの意味とは?:お店最前線 来店してもらう仕掛けとは?(3/3 ページ)
セブンが実証実験を継続的に行う拠点がある。実際に行ってみると「たばこは無言で買う時代」というコピーがあった。どんな意味があるのか? 実際にたばこを買ってみた。
ワインの品ぞろえが充実
実験店ではワインの品ぞろえが充実しているのも大きな特徴だ。店内にはワインしか並べられていない特設の棚があり、商品の個性をアピールする解説文が添えられてある。価格帯も幅広く、数百円のものだけでなく、2000円、3000円台のものもあった。特設コーナーには5000円(税抜き)のワインもあった。
特設コーナーと通路を挟んで反対側には冷えたワインが並んでいる。「モエ・エ・シャンドン モエ アンペリアルギフトボックス」(5450円)というシャンパンが販売されていた。セブンの永松文彦社長は流通ニュースの取材に対して、高価格帯のワインを並べた結果「売り上げが2倍になりました」と答えている(出所:流通ニュース「セブンイレブン/永松社長が語る「飽和市場論を破る」商品政策」)。同記事によると、麹町の商圏に合った品ぞろえを目指したという。同店は事業所立地であるが、同時に地域住民の利用も多いという。この付近の住民には高価格ワインのニーズがあったということになるかもしれない。
充実している“筋肉商品”
品ぞろえで特徴的だったのは、プロテイン関連の商品が充実していたことだった。甘い味付けのプロテインバーだけでなく、ササミを使った商品もある。品数も豊富だ。プロテイン関連商品の隣には、スムージーのコーナーもある。
近年、健康を意識するお客にプロテイン関連商品が売れている。例えば、都内を中心に店舗を展開するナチュラルローソンでは、このカテゴリーの売上高は伸び続けており、18年度は前年比で4割増となっている。ナチュラルローソンでは、幅広いお客のニーズに応えるため、19年4月に殻をむいたゆで卵を真空パックした「ボイルドエッグ」というユニークな商品も発売している。また、「アスリートのチキン(プレーン)」といった商品も展開している。
ちょっと変わった商品では「ケールグリーンスムージー」が目立った。これは、透明なカップの中に凍ったサイコロ状の果物などが入っている。冷凍ケースから取り出し、レジで精算した後、専用のマシンに入れて飲める状態にする。記者も実際に購入してみた。マシンに設置し、ボタンを押すと商品は自動的に中に入っていく。すると、カップの中に液体が注ぎ込まれ、上部からカッターが降りてくる。数十秒間「ウイーン」という大きな音が響き、スムージーが出来上がるという仕組みだ。ちなみに、商品を取り出した後、カッターは自動で洗浄される。この専用マシンが2台も並んでいた。セブンの広報によるとこの商品は他店で販売されていたことがあるという。
この実験店舗を定期的にウォッチすれば、セブンが目指そうとしている“近未来像”が見えてくるかもしれない。
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