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仮想通貨とデジタル通貨KAMIYAMA Reports(3/3 ページ)

ビットコインなどの仮想通貨は投資対象として考えてよいだろうか。各仮想通貨はそれぞれ性格が異なるので一言では言いにくいが、ビットコインへの投資は金投資と似ている。

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日興アセットマネジメント
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人々が生み出す価値を反映する証券投資が王道

 投資結論は二つある。一つは、仮想通貨そのものは通貨や金などへの投資と似ており、投資機会の一つとして含めても良いが、そもそも人々が価値を生み出すことの分配を得ようとする証券投資とは異なることを知っておく必要がある。株式投資は、投資先の企業の経営者や従業員が働いて獲得する付加価値の分配を期待する。事業そのものにリスクがあるので、金銭的な意味でそのリスクを取ることで、一般に、預金などよりも高いリターンが期待できる。

 しかし、通貨や仮想通貨、商品などは、そのような投資リターンの仕組みを持っていない。それゆえ、仮想通貨そのものに投資するより、仮想通貨の開発・取引やその背後にあるブロックチェーンなどの技術に注目し、そこで働く企業へ投資することの方が、投資の王道といえる。

 もう一つは、IPOなどによる企業の資金調達が、ビットコインなどの仮想通貨で行われる可能性だ。既存通貨と銀行システムで広がりにくい仮想通貨で資金調達する、およびビジネスの成長が起こる場合に投資する、あるいはネット上のスコアリング型融資に資金を投じることなどが考えられる。サイバー空間上で新しいビジネスが誕生する場合、投資の対象は企業であっても利用する「通貨」が仮想通貨になる可能性はある。その場合、為替リスクを伴う海外株式への投資と似た性格を持つ証券投資となる。

 いずれにしても、現時点では、仮想通貨そのものの仕組みが安定しておらず、将来どの仮想通貨が定着するのか、企業がその仮想通貨で資金調達などを継続的に行うかどうかがわからない。このような状況で「投資をする」ことは、よほど情報を多く把握し常に監視していくことが必要となる。

 しかも、通常の証券投資には十分な投資機会があるので、あえて仮想通貨を使って投資する必要はないように感じる。ただ、忘れないようにしたいことは、ブロックチェーン技術やそれを使った新しい事業を起こす企業への証券投資はできる、ということだ。

筆者:神山直樹(かみやまなおき)

日興アセットマネジメント チーフ・ストラテジスト。長年、投資戦略やファイナンス理論に関わってきた経験をもとに、投資の参考となるテーマを取り上げます。

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