「としまえん閉園」は寂しいけれど…… 鉄道会社にとって“遊園地”とは何か:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/6 ページ)
東京都練馬区の遊園地「としまえん」が閉園し、跡地は大規模公園、一部にテーマパークができると報じられた。お別れは寂しいが、鉄道会社系遊園地の役割は大きく変わり、これまでにもたくさんの施設が閉園した。その跡地には、時代に合った街ができている。
ムーミンの教訓、西武園ゆうえんちのリニューアル
西武鉄道としては、飯能に開業した『ムーミン』のテーマパーク「メッツァ」の経験も参考になったはずだ。西武鉄道は飯能、宮沢湖周辺の土地を約6億円で売却したという。その上で、都心からの移動手段として特急「Laview」をアピールし、鉄道の集客につないでいる。かつては鉄道の集客手段として鉄道会社自ら遊園地経営を行った。しかし、必ずしも鉄道会社の直営である必要はない。
ところがその一方で、西武鉄道は19年9月に埼玉県所沢市の「西武園ゆうえんち」をリニューアルすると発表した。西武園ゆうえんちのリニューアル事業のパートナーは株式会社「刀」だ。耳慣れない会社だが、創業社長の森岡毅氏は「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」でマーケティング本部長・執行役員を務め「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」を導入して、低迷していた業績を回復した人物として知られている。
1950年に開業した西武園ゆうえんちは2020年に開業70周年を迎える。1988年には年間194万人の入場者があったけれども、2018年度の入場者は約49万人と、4分の1まで落ち込んだ。施設の老朽化、余暇の使い方の変化など、環境の変化に追従できなかったという。そこで「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」を回復させた森岡氏に期待したと思われる。それなら、西武園ゆうえんちに『ハリー・ポッター』が来ても良さそうだ。邪推だが、ワーナー・ブラザース側が都心に近い立地のとしまえんを選んだのかもしれない。
「としまえん閉園」のニュースを受けて、ネットでは懐かしむ声、惜しむ声が次々に現れた。その気持ちはよく分かる。かつて、他の鉄道会社のケースでも遊園地が閉園し、同じ思いをした人々がいた。私は東急沿線の子どもだったから、東急「多摩川園」「二子玉川園」の閉園は寂しかった。その他、小田急は「向ヶ丘遊園」、京成は「谷津遊園」、京王は「京王遊園」、東武東上線には「兎月園」があった。今はない施設ばかりだ。
【訂正:2020年2月7日10時40分 固有名詞に誤りがあったため訂正しました。】
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