スパイは社員に紛れている! 三菱電機、ソフトバンクの情報漏洩が人ごとではない理由:世界を読み解くニュース・サロン(4/5 ページ)
三菱電機やソフトバンクの社内情報が、サイバー攻撃やスパイによって流出したことが報じられた。だが、このような手口は最近始まったことではないのが現実だ。日本の全ての企業が標的になっていると考えて対策に乗り出さなくては、どんどん喰い物にされてしまう。
スパイは堂々と帰国、同じ手口で何度も盗まれている
では、ソフトバンクのケースはどうか。やはり、何十年も前から同じような相手(通商代表部などロシア人スパイ)によって、同じようなスパイ工作が日本の企業に対して行われてきた経緯がある。今回のケースも、これまでのベタなスパイ工作の新たなケースが表面化しただけにすぎない。
そういうリスクがあることを、国や捜査当局はもっと周知する必要がある。過去を振り返れば、こういった事件は1度や2度ではないのだ(ロシアの通商代表部員が情報を盗むというスパイ工作は、表面化しているだけでも、2002年、05年、06年に起きている)。そして同じように、スパイに堂々と帰国を許している。同じ手口でやられるほど間抜けなことはないし、相手にナメられる原因にもなる。
ちなみに今回は5Gがらみの情報が狙われたが、これはまだスパイ工作の初期段階だった可能性が高い。ロシア人スパイなどは大して重要ではない情報からハードルを上げていき、最終的に欲しい情報を手にするのが常套手段だ。
三菱電機とソフトバンクのどちらのケースにもいえるのは、情報が十分に社会や企業に共有されていないことである。三菱電機やソフトバンクが、日本を喰い物にしようとしているスパイ工作についての情報を持ち合わせていなかったことは明らかだ。
中国の武漢で発生した新型コロナウイルスのように、世の中で何が発生しているかを周知しなければ、対策も何もできないのである。情報を隠蔽しようとしたり、事なかれ主義で被害を軽視したりすれば、気が付けば感染や被害は広がる一方だ。そういう自覚を企業も持つべきであり、情報を開示して、広く警鐘を鳴らすべきである。株価が一時的に下がり、信用問題になると言っている場合ではない。
もう一つ言いたいのが、やはりビジネスパーソンも日ごろから世界の情勢に敏感でいたほうがいいということだ。
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