インタビュー
行列ができる店があるのに、なぜ「たい焼き店」は増えないのか:水曜インタビュー劇場(一丁焼き公演)(6/7 ページ)
たい焼き店の「御三家」をご存じだろうか。「浪花家総本店」「わかば」「柳屋」――。人気店の前に行列ができていることは珍しくないが、疑問がひとつ。もうかっていそうとなれば、同じような店が増えてもおかしくないのに、そうでもない。その秘密を探ってみると……。
“開き”直ることで、解決
土肥: たい焼きを開く? どういう意味でしょうか?
辻井: 捨てる予定のたい焼きを開き、そこに生地を流し込んで、プレス機でぎゅーっと圧縮するんですよね。そうすることで、カリカリとした食感で、甘くて香ばしい商品ができました(たいやきの開き:350円)。おいしいたい焼きをつくるために、あんこの水分をできるだけ保つようにさまざまな工夫しているわけですが、開きの場合、逆に水分を飛ばすようにしているわけです。
店内を見ていただけますか。開きがたくさん並んでいますよね。プレスした開きを2時間ほど乾かすことによって、カリカリになる。そして、それを販売するといった流れですね。
土肥: 賞味期限は?
辻井: 20分ではなく、2カ月! 繰り返しになりますが、行列ができている店であれば、焼き続けることができるので売り上げは伸びる。しかし、そうではない店はどのような問題が発生するのか。在庫がどんどん増えて、利益がどんどん圧縮されてしまう。また、スタッフは何もしない時間が増えていく。このままではないけないということで、捨てていた商品を生き返らせる商品を生み出しました。
土肥: 廃棄ロスを改善しなければいけない。効率よく店を運営しなければいけない。この2つの課題は、“開き”直ることで解決したわけですね(ニヤニヤ)。
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