行列ができる店があるのに、なぜ「たい焼き店」は増えないのか:水曜インタビュー劇場(一丁焼き公演)(7/7 ページ)
たい焼き店の「御三家」をご存じだろうか。「浪花家総本店」「わかば」「柳屋」――。人気店の前に行列ができていることは珍しくないが、疑問がひとつ。もうかっていそうとなれば、同じような店が増えてもおかしくないのに、そうでもない。その秘密を探ってみると……。
ズバリ、収入は?
土肥: 取材をする前、御三家と呼ばれるたい焼き店にはいつも行列ができているのに、なぜ同じような店がどんどん増えないのか? といった疑問がありました。辻井さんの話を聞いていると、「効率的に運営することが難しいので、一丁焼きの店はなかなか増えない」といった背景があることが分かってきました。
辻井: なかなか増えない一方で、「一丁焼きの店をやりたい。将来、自分の店を持ちたいので、働かせてください」といった声は多いんですよね。例えば、夫婦2人で店に立って、忙しいときにアルバイトを雇うという形はできるでしょう。ですが、自分がオーナーで、店長を雇うといった組織で運営しているところは少ない(編集部注:ともえ庵は、店長を雇っている)。
なぜか。当店は一匹180円で販売しているのですが、そのくらいの価格の商品に、遠くからやって来る人はほとんどいません。大半の人は「家の近所にあるから」「買い物をしていて、ついでに」といった理由で、購入しているんですよね。というわけで、店の前の通行量と、目立つ看板は非常に大事!
土肥: 小腹が空いた人をいかに引き寄せるかがポイントになりそうですね。ズバリ、おうかがいします。夫婦で店を切り盛りした場合、収入はどのくらい?
辻井: 一般的な話になりますが、大企業で給料をたくさんもらえるところと比べると、少ないでしょう。ただ、きちんと働けば、中小企業の平均給与よりもたくさん手にすることは可能でしょうね。
(終わり)
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