値付けで「AI」VS. 「勘と経験」 ドンキ運営会社の狙い:デジタル施策を推進
ドンキの2店舗でAIが参考価格を提示する実験を行っている。今後、この取り組みを他店舗にも展開する予定。「AI価格」を活用するかどうかの判断は各店舗が行う。
「ドン・キホーテ」などを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)はAIを活用したプライシング施策を推進する。
現在、ドンキの2店舗でAIが参考価格を提示する実験を行っている。PPIHの吉田直樹社長によると、実験店で何度か試行錯誤を重ねた結果、売り上げに良い結果が出たケースがあるという。3月末までの実験結果を踏まえ、100〜200店舗に導入する考えを示した。AIを活用したプライシングを導入するのは、ドンキ業態に限らない。
PPIHが推進するこの取り組みの特徴は、「AI価格」を活用するかどうかの判断が店舗に委ねられている点だ。AIアルゴリズムは「競合価格」「天候」「気温」「レシート」といった膨大なデータをもとに、各商品の値付けを行う。一方、店舗の担当者がこれまで通りの「勘と経験」で値付けをすることも可能。どちらの値付けが売り上げ増につながるかを検証し、適切な評価を行うとしている。
マシュマロ構想の一環
AIを活用したプライシング施策は、同社が掲げるマシュマロ構想の一環だ。これは、2019年10月に発表したもので、小売業の新たな時代に対応する狙いがある。
お客はさまざまな手段を用いて、多くの情報を得るようになってきた。さらに、シェアリング、サブスクリプション、コンシューマー向けマーケットプレースなど新しい消費スタイルを経験するようになったことから、従来のマーケティング手法にとどまらない革新的な取り組みが不可欠だと判断。PPIHは完全子会社となる「株式会社マシュマロ」(東京都目黒区)を設立し、オープンイノベーションなどを推進しようとしている。
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