美辞麗句で求職者は騙せない! アピールのはずが「ブラック企業かも」と思われてしまう求人広告の特徴:新連載・あなたの会社は大丈夫? 求職者に「ブラック企業」と思われないために(2/4 ページ)
新卒採用のシーズンが始まった。企業は求職者に対して自社を良く見せようとしがち。しかし、「良かれ」と思ってやっていることで「ブラック企業」と判断されるリスクも。今回は、「求人広告」について、ブラック企業に詳しい新田龍氏が解説する。
「求人広告」のブラック企業認定ポイントとは
求人広告の出稿費用は高額だ。少しでも注目を集め、多くの求職者をひきつけるものでなくてはならない。従って、広告営業担当者や制作者は知恵を絞り、秀逸なコピーや美辞麗句を並べたてることになる。
しかしネットの発達と口コミサイトなどの進展により、今や多くの求職者が、それらが求人企業と広告会社によるプロパガンダであり、実態と乖離(かいり)があることに気づいてしまっている。具体的には次のような点をもって「ブラック企業である可能性」を察知するのである。
求人広告を常に掲載している →退職者が多い可能性を察知する
採用活動というものは通常、「必要な人が採用でき、充足したら終了する」ものである。ところが、求人情報誌や転職サイトを見ていると、一部の業界や職種では年がら年中採用している会社が見受けられる。また、そのような企業に限って常に「急募!」「業績好調のため追加募集!」と告知していることも多いのだ。
求職者はその会社に対して、「何かしら人が辞めていく要素があり、常に人員を補充していないと間に合わないような内部環境なのかも……」と想像することになる。果たして研修が厳しいのか、仕事がつらいのか、社風がよくないのか、その全部か――。このような出稿姿勢は求人広告会社を富ませるだけであり、あなたの会社にとってメリットは少ない。
ハードルの低さが強調されている →人が集まらない会社、もしくは仕事内容である可能性を察知する
特に中途採用の場合でありがちなケースといっていい。中途採用の多くは即戦力として同業界・同職種の経験者を求めるものである。しかし、そこで次のようなキーワードを見かけることがある。
「ノルマなし」
「学歴不問」
「未経験者可」
「転職回数不問」
「フリーター歓迎」
「将来は独立も可能」
「書類選考なし」
「すぐに月収○○万円」
こういった会社もまた、「そこまでしなければ採用できない理由がある」と捉えられることになる。ハードワーク、強烈なプレッシャー、給与面、社風など、何かしら問題がある可能性が高いし、仮に文字通り誰でもできるようなルーティンワークだったとしても、結局「その仕事をどれだけやってもスキルにならない」ことになる。逆にいえば、このような基準で採用できる人材も相応である覚悟が必要である。
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