美辞麗句で求職者は騙せない! アピールのはずが「ブラック企業かも」と思われてしまう求人広告の特徴:新連載・あなたの会社は大丈夫? 求職者に「ブラック企業」と思われないために(4/4 ページ)
新卒採用のシーズンが始まった。企業は求職者に対して自社を良く見せようとしがち。しかし、「良かれ」と思ってやっていることで「ブラック企業」と判断されるリスクも。今回は、「求人広告」について、ブラック企業に詳しい新田龍氏が解説する。
「社風の良さ」ばかり強調している →「ほかにアピールできる強みがない会社」と思われてしまう
あなたの会社のWebサイトや求人広告において、会社説明の画面に「楽しそうな社員の写真」があふれている、ということはないだろうか。もしそうなら要注意だ。笑顔をふりまき、ガッツポーズをした社員。社員旅行の集合写真――。「社員の仲がよいことの何が悪い!?」と思われるかもしれないが、あくまでここは「会社説明画面」である。
自社製品なり、サービスに何かしらの強みがある会社なら、その点をアピールするものだ。しかし強みが何もない場合、アピールできるのは「仲の良さ」や「いい雰囲気」だけ、ということになってしまう。「この会社は、社風以外でよりどころにできる強みがないんだな」と捉えられてしまう可能性がある。社風の良さをアピールすることは必要だが、それはあくまで「複数ある中の一要素」として扱うことが肝要である。
「20代中心の若い会社」自慢 →マネジメントが未熟な可能性を懸念される
「経営者も役員も若手」「社員は20代中心」などと、フレッシュさをアピールする企業も求職者が避ける傾向にある。もちろん、パワーと志にあふれる若者が時代を切り開いていく例はベンチャー企業を中心にあるわけだが、経営陣や商材によほどの強みがある場合を除いて、一般的には「若さだけがウリ」の会社は要注意である。
大きな理由としては、マネジメントを仕切る人物の人生経験が足りないほど、社内の管理体制も未熟になってしまう傾向にあるからだ。ビジネス上、どんなトラブルがどんなタイミングで起こり得るのか。それらに対してどのように対処していけばいいのか。判断や対処が後手にまわってしまうことで、会社そのものの存亡にもかかわりかねない。営業や管理部門には十分な経験を積んだ人材が配置されているか、あるいは少なくとも社外役員や顧問などの形で事業にタッチし、彼らの知恵や人脈を借りられる状態になっていることが望ましいといえる。
ここまで、求職者と直接かかわる以前の求人広告についてチェックポイントを紹介してきた。求人広告は、最初に求職者が企業を知るポイントであるケースも多いため、この段階で「ブラック企業かも」と思われてしまっては話にならない。
とはいえ、求人広告をいくら取り繕っても、本当に大事なのはこの後だ。次回は、求職者と企業が直接かかわる「会社説明会」や「会社訪問」におけるチェックポイントを紹介していく。
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