新型コロナ対策の“無人配送”も注目 フードデリバリーで中国トップ「美団点評」の実力とは?(3/4 ページ)
中国でデリバリーやシェアサイクル、口コミサイトなど生活関連サービスにまつわる「O2O(Online to Offline)」ビジネスを手掛けるのが「美団点評」だ。新型コロナ対策では、無人運転による配送を行ったことでも注目された同社の“実力”とは?
買収や新事業を推進、黒字化を達成
美団点評の決算は19年第3四半期決算(7〜9月)が直近となる。売上高は前年同期比44.1%増の275億元(約4278億円)で、純利益は19億4000万元(約302億円)。前年同期は24億7000万元(約384億円)の赤字であり、そこから黒字化した。なお今年に入り好調で、2四半期連続の黒字となった。
業務別では、飲食デリバリー事業の売上高は155億7697万元(約2390億円)で、純利益は30億4522万元(約470億円)、取引総額は前年同期比40%増の1119億元(1兆7180億円)となった。ホテル・旅行・到店(テークアウトの事前購入)事業の売上高は61億8111万元(約950億円)で、純利益は54億7621万元(約840億円)、取引総額は同29.4%増の639億元(約9810億円)となった。新業務その他の売上高が57億3554万元(約880億円)で、その純利益は10億7084万元(約164億円)、取引総額は同14.9%増の188億元(約2890億円)となった。
アクティブユーザー数は4億3580万、年平均の利用回数は26.5回。登録店舗数は590万となった。
美団点評の近年の大きな動きはいくつかある。デリバリーについては「美団閃購」という、既存の同社のデリバリーサービスよりもさらに生鮮食品などを早く配送することを目的としたサービスを中国全土で徐々に展開している。特に薬や鮮花の売り上げが上がったという。最近では無人倉庫を中国各地で建設しているほか、新型コロナウイルス対策では、武漢で無人運転車を倉庫と配達先の間で走らせた。
旅行については、民泊プラットフォームの「榛果民宿」を買収し、「美団民宿」と名前を変更した。美団ブランドとなり、美団アプリからも利用できることになったことから、榛果民宿のときと比べて実績が急激に伸びた。
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