新型コロナ対策の“無人配送”も注目 フードデリバリーで中国トップ「美団点評」の実力とは?(2/4 ページ)
中国でデリバリーやシェアサイクル、口コミサイトなど生活関連サービスにまつわる「O2O(Online to Offline)」ビジネスを手掛けるのが「美団点評」だ。新型コロナ対策では、無人運転による配送を行ったことでも注目された同社の“実力”とは?
中国人の生活と密着した「美団」のサービス
中国人にとって、美団や同社と合併した口コミサイト「大衆点評」は、街に出るときになくてはならないサービスだ。外食をしたいときに、スマートフォンから美団アプリを立ち上げる。すると近所のレストランや食堂が出てくる。メニューや評価も見ることができ、割引クーポンも表示される。また事前にミルクティー店などでテークアウトする商品をアプリで購入しておけば、到着してすぐに受け取ることもできる。
映画館で映画を見たり、旅行でホテルを予約したり、病院に行ったりするときも同様だ。ホテルの代わりに民泊を予約することもできる。口コミ情報を得るために、大衆点評のアプリを立ち上げてもいい。美団や大衆点評のおかげで、ショッピングモールだけでなく、オフィスビルの一室やマンションの一室で、リアル広告を出さずにひっそりと営業する店舗が当たり前となった。目的地まで移動するときは美団単車(モバイク)を利用してもいいし、配車サービス「美団打車」を使ってもいい。いずれも美団アプリ一つで間に合う。
また、家にいるときはデリバリーを利用できる。食堂やレストランの食事だけでなく、スーパーやコンビニ、市場内の店舗の(生鮮)食品をデリバリーしてくれる。商品をデリバリーするだけではなく、家事や美容系サービスなどのプロを派遣してもらうこともできる。新型コロナウイルスの非常事態下では、一部地域だが、倉庫から配達先まで無人運転車による配送も行った。
美団と大衆点評(特に美団)は、オンラインとオフラインをつなぐ定番のネットサービスというわけだ。専門用語を使うと「O2O(Online to Offline)」のポータルを提供するサービスだ。
現・美団点評の前は、美団と大衆点評の2企業があったわけだが、先に登場したのは大衆点評で、2003年のことだった。一方美団は、1979年生まれの王興氏が2010年に創業した企業だ。王興氏は、美団創業以前は、2005年にFacebookに似せた校内網(現・人人網)、07年にTwitterに似せた飯否を立ち上げた起業家としても知られている。
美団はというと、グルーポンに似たクーポンサイトとして登場し、サービスを拡張していった。15年には美団と大衆点評が合併した。美団は18年に香港証券取引所に上場。19年10月には同社の時価総額がアリババとテンセントに続く3位まで上がった。
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