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消費者を本当に煽ったのは誰か:

トイレットペーパー買い占め元凶はデマだけか メディア報道に潜む「大罪」――データで迫る (3/3)

新型コロナの余波でトイレットペーパー買い占めが。デマだけでない本当の元凶とは? メディア記事データや専門家の分析から迫る。

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「鎮静化には報道自粛が効果的」

 そして、橋元教授は「(こうした消費者行動を)煽っている1つの責任はマスメディアにある」と指摘する。繰り返しトイレットペーパーなどの一部での品不足をマスメディアが頻繁に報じると、読者・視聴者は「これが世間の人々の現在の非常に大きな関心事だ」と判断する。これは社会心理学で「議題設定効果」という説に当たる。

 結果として消費者の思考回路が「トイレットペーパー購入」中心になる、という。さらに、空になった棚や行列が報じられると「自分も動かないと入手できなくなる」と考えるようになる「バンドワゴン効果(大勢順応行動)」が働く、と橋元教授は説く。「ある株の価格が上がる」という情報が出回り、人々がその株を買うと株価も本当に上昇するという「予言の自己成就」という現象も、今回のトイレットペーパー騒動に合致しているという。

 ちなみに、橋元教授はこうした議題設定効果などを引き起こす最も強いメディアとしてテレビを挙げている。今回、分析で使ったWeb記事もテレビ系サイトの物が少なくなく、またテレビの放送内容を「そのまま引き写す」記事スタイルのメディアも多いことから、テレビ報道の傾向もかなり反映しているとみられる。

 橋元教授は「結局、事態を鎮静化するのに最も効果的なことはマスメディアが報道を自粛すること」と説く。さらに「小売りの入荷の具体的なスケジュールを提示すること」「(消費者心理の対策では)実際に(トイレットペーパーなどが)不足して大きなダメージを受ける人の身の上を思いやることだ」と指摘する。

 買い占め騒動のような社会不安時における消費者の動きは、報道における重要なテーマだ。ただ、「報じること」そのものが、たとえ悪意が無くても消費者の不安を煽り異常な行動に走らせてしまう点は、メディアの在り方を考えるうえで難しい問題と言える。本記事も、その例外では無い。

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