AIが予測する、コロナショックで増益する企業、減益する企業
テキストマイニングを用いてAIで企業や経済の先行きを分析するxenodata lab.(東京都渋谷区)は、新型コロナウイルスの国内上場企業への影響予測を公開した。それによると、世界的に感染が拡大した際の影響は、各業界共通で部品サプライヤーへの減益影響が大きいと予測された。
テキストマイニングを用いてAIで企業や経済の先行きを分析するxenodata lab.(東京都渋谷区)は、新型コロナウイルスの国内上場企業への影響予測を公開した。それによると、世界的に感染が拡大した際の影響は、各業界共通で部品サプライヤーへの減益影響が大きいと予測された。
世界的に感染拡大時のシナリオ
特に自動車業界は、「ディーラーによる対面販売機会の減少や、サプライチェーンの機能不全により、販売・生産ともに悪影響が生じることで、部品サプライヤーに大きな減益影響が予測された」(xenodata lab.)。
悪影響の最も高かった上場企業は、プラスチック製品を扱う「天昇電気工業(スコア-198)」。同社の株価は2019年9月に1089円を付けたが、その後下落。2月には500円台で推移し、コロナショックの影響か現在は266円まで落ちている。
そのほかxenodata lab.が算出したスコアが−100以上だったのは、ポーラ・オルビスHD、大豊工業、盟和産業、東海理化電機製作所、大日光・エンジニアリング、ウイルプラスHD、日本製鉄、村田製作所、森六HD、アルバック、アドバンテストなど。
一方で、感染予防品や医薬品特需、外出規制によるリモートワークや巣篭もり消費に恩恵を受ける企業もあり、それらでは増益が予測された。筆頭は、製紙会社の中越パルプ。同社の株価も直近の高値から現在4割ほど下落しているが、AIは増益影響を+228ポイントと弾き出した。
ほか、増益影響のスコアが高かったのは、科研製薬、キョーリン製薬HD、小野薬品工業、エーザイ、アステラス製薬、ダイト、参天製薬、第一三共など医薬品業界が多い。また、製紙業界でも大王製紙、日本製紙、岡山製紙、王子ホールディングスなど多くに増益影響と予測している。化学系では、北興化学工業、ユニ・チャーム、大成ラミックなど。ITではNTTドコモ、インターネットイニシアティブ、Zホールディングスなどが挙がった。
国内感染拡大時のシナリオ
国内で感染が拡大した際には、「オリエンタルランドやゼンショーなど、人の外出を前提とするサービス・外食の減益影響が大きいと予測」しただけでなく、施設の利用需要が将来を含めて減少し、「建設工事を請け負う建設業や不動産業の減益影響も大きい」(xenodata lab.)としている。
減益スコアが大きかった大手上場企業には、オリエンタルランドのほか、ファミリーマートや関電工などが挙がった。
このスコアは、有価証券報告書や決算資料のほか、国内約100社の経済メディア記事、そして各団体から公開されている統計データを元に、テキストマイニングを用いて影響を予測したもの。発表データは3月8日時点の情報に基づく。
関連記事
- 大荒れのコロナ相場、日本株を“爆売り”しているのは誰なのか
海外投資家は日本市場において3分の2近い売買シェアを誇る市場参加者だ。ここ1カ月間で、現物株式と指数先物を最も多く売り越したのも海外投資家だ。一方で、この下落でも買い向かっている市場参加者は個人投資家だ。 - コロナショック、安全資産のはずだった債券はなぜ下落したのか?
連日の株価乱高下に市場が揺れている。一般に、株価が下落するときは安全資産といわれる国債などの債券が買われる。いわゆる逆相関の関係だ。ところが、3月9日週に入ってから債券価格も下落。併せて金なども売られ、すべての資産価格が下がった。 - 恐怖指数VIXが過去最高水準 82.69に
米S&P500株式指数のオプション価格を元に計算される、VIX指数(ボラティリティ指数)が82.69まで高まった。VIX指数は「恐怖指数」とも呼ばれ、投資家の不安を表すといわれている。 - 新型コロナで消費が増えた業種、減った業種 JCB消費NOWで明らかに
JCBのクレジットカード決済情報や属性などのデータを活用して、消費動向を調査する「JCB消費NOW」の速報値が発表された。2月前半および2月後半について、新型コロナウイルスの感染拡大によって業種別の消費動向の変化が明らかになった。 - ビットコイン急落 一時40%安、50万円切る
3月13日、ビットコイン価格が急落した。24時間前の約83万円から一時49万円まで下落し、下落幅は40%を超えた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.