新型コロナ感染拡大で行き場を失った食品を救え! 農水省や食品宅配事業者らの支援続々:「食品ロス」削減への現在地(1/2 ページ)
物産展や飲食に関連したイベントの中止が相次ぐ。学校給食の中止で食材が行き場を失っている。食品ロスを防ぐための試行錯誤が続く。
「食品ロス」削減への現在地
季節商品など、大量の廃棄が出る商品に対して厳しい視線が向けられるようになった。2019年10月には食品ロス削減推進法が施行。製・配・販に携わる事業者は、ロスをなくすための対策を掲げている。食べ物を余らせないようにするサービスなども出てきた。「もったいない」を巡る取り組みに迫る。
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連載第2回:本記事
農林水産省は3月4日、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、食品関連事業者から発生する未利用食品をフードバンクに寄付するための取り組みを開始した。
食料産業局バイオマス循環資源課食品産業環境対策室の担当者によると、全国の小学校や中学校などが休校したために給食を提供できなかったり、イベントが急きょ中止されたりといった事態を受け、食品製造メーカーや卸会社で行き場を失った食料品が出始めているという。「こういった食料品は、別の用途に活用したり販売したりするのが基本だ。しかし、どうしても余ってしまう場合には、寄付という選択肢があるということを周知したい」(担当者)
具体的な取り組みの概要は次のようになる。
フードバンクに寄付を希望する場合は、「食品名」「数量」「消費期限又は賞味期限」「保管場所」「連絡先」といった情報を農水省にメールで報告する。農水省は報告のあった未利用食品の情報を取りまとめ、全国のフードバンクに対してメールで情報を発信する。寄付を受けたいと考えるフードバンクは、食品関連事業者と直接連絡をして、受け渡し方法などの具体的な調整を行う。こういったやりとりを経て、お互いが合意した場合は、未利用食品の寄付が行われる。
寄付を行った後、食品関連事業者は農水省に報告を行う。農水省は寄付の実績を後日公表する(合意があった場合のみ)。農水省はあくまで情報を共有するだけなので、取引を通じて発生したトラブルなどについては一切関与しないとしている。
農水省はICTやAI等の新技術を活用した食品ロス削減関連ビジネスを展開している企業の事例を集め、公開している。食品ロスの防止だけでなく、何かしらのビジネスのヒントにしてほしいと呼びかけている。
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