従業員の新型コロナ感染、「準備している」は3割 中小企業で対応難しく:「感染防止」には取り組んでいるが……(1/2 ページ)
大阪商工会議所が「新型コロナウイルス感染症への企業の対応に関する緊急調査」を実施。従業員やその家族が感染した場合に備えた対応策を準備している企業は3割強だった。特に中小企業で対応が難しい現状が明らかになった。
大阪商工会議所は3月12日、「新型コロナウイルス感染症への企業の対応に関する緊急調査」の結果を発表した。従業員の感染予防を目的とした取り組みを行っている企業が多数を占めたが、実際に従業員やその家族が感染した場合の対応策を準備している企業は3割強だった。
企業規模によって対応に差
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために取っている対応について企業に聞くと、「従業員に対する感染予防の徹底(手洗い、消毒液の設置、マスクの配布・着用等)」を行っている企業が86.5%と9割近くを占めた。「発熱等の症状がみられる従業員への休暇取得の勧奨・出勤停止」(64.0%)、「社外イベント・会合等への出席の自粛・禁止」(54.9%)も5割を超えた。一方、「時差出勤の実施」は32.7%、「在宅勤務・テレワークの実施」は18.2%だった。
また、回答企業の資本金別にみると、企業規模による対応の差が大きいことが分かった。時差出勤については、資本金3億円超の企業では83.0%が実施しているが、資本金3億円以下の企業では20.7%。在宅勤務やテレワークは、それぞれ54.7%と9.5%となり、大きな開きがあった。
従業員やその濃厚接触者が感染した場合に備えて準備をしているか尋ねると、「検討中」が48.0%と最も多かった。「準備している」は34.2%にとどまり、「準備していない」という企業も17.1%あった。企業規模別にみると、資本金3億円超の企業では81.1%が「準備している」と回答。資本金3億円以下では23.0%となり、ここでも状況に差が見られた。
「具体策を準備している」または「検討中」と回答した企業の具体的な対応策の内容については、「本人または家族が罹患した場合、当該従業員の出勤停止・自宅待機」が92.5%と最多。「罹患者との濃厚接触者(同部署等)は出勤停止・自宅待機」(57.1%)、「保健所等の指示を待ち、その後どう対応するかを判断」(46.9%)という回答も多かった。
従業員などが罹患した場合の対応や影響について、企業からは「従業員が感染症に罹患した場合の対応は検討が進んでいない。1人でも感染者が出ると、事業継続が困難になる」「当社は工場が2カ所しかなく、仮にそのうち1カ所の工場の従業員が感染症に罹患し、工場の稼働が停止した場合、製品の半分が出荷できなくなる」「従業員が感染症に罹患した場合の対応については、ペーパーを作成し、想定を始めているが、現実的には出たところ勝負になるのではないか」といった声が寄せられたという。
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