なぜ「日本の上司」は、“下に理不尽な要求をするおじさん”が多くなってしまうのか:スピン経済の歩き方(2/6 ページ)
「上司が理不尽な要求ばかりしてきて、悩んでいる」といったビジネスパーソンも多いのでは。それにしても、なぜ日本の上司は“信じられない要求”をしてくるのか。筆者の窪田氏はこのように分析していて……。
日本の上司は理不尽な存在
では、なぜ「日本の上司」は“下”に対してこうも理不尽な存在になってしまうのか。
マネジメントの専門家や経済評論家の人たちに言わせると、部下とのコミュニケーションが希薄になっているとか、管理職研修などで上司としての自覚が芽生えていないからとか、いかにもそれらしい意見がでてくるが、筆者はこの問題はもっとシンプルに考えたほうがいいのではないかと考えている。
上司が“下”に理不尽な要求を押しつけることは、その上司が“上”からきた理不尽な要求を跳ね返すことができなかったからだ。では、なぜ跳ね返すことができなかったかというと、我が身がかわいいからだ。「そんな理不尽なことはできません」などと組織に抵抗すれば、出世の道が絶たれるだけではなく、組織人として積み上げたものもパア。当然、住宅ローンや子どもの学費など不安が頭によぎるので、「部下に押し付けちまえよ」と悪魔が耳元でささやく――。
要するに、「日本の上司」が“下”に理不尽なことを要求するのは、理不尽な組織の中で自分が難を逃れるために弱い立場の人間を犠牲にする、という「自己保身」によるところが大きいのではないのか。
という話を聞くと、「知ったような口を聞くな! 組織のなかで働くことはそんな単純な話じゃないんだ!」とキレる管理職の方も多いかもしれないが、日本の組織に属している人々が日々何を求めて働いているのかは、自分たちで考えているよりもはるかに「単純」なものだということが分かっている。先ほどと同じくパーソル総合研究所が行った日本を含むアジア太平洋地域14の国・地域を対象とした就労実態調査だ。
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