なぜ「日本の上司」は、“下に理不尽な要求をするおじさん”が多くなってしまうのか:スピン経済の歩き方(5/6 ページ)
「上司が理不尽な要求ばかりしてきて、悩んでいる」といったビジネスパーソンも多いのでは。それにしても、なぜ日本の上司は“信じられない要求”をしてくるのか。筆者の窪田氏はこのように分析していて……。
パワハラ上司が水を得た魚のように
もちろん、このような閉鎖性は財務省に限った話ではない。ただでさえ、日本人労働者は「死ぬまで組織にしがみつく」志向が強いところ、それに輪をかけて組織への帰属意識が強いのが、国家公務員である。平成29年(2017年)の雇用動向調査によると、一般労働者の離職率は11.6%、パートタイム労働者は25.7%だが、人事院の公務員離職率を見ると全職員で6.3%しかない。
このような「組織にしがみつく人が多い世界」は、どうしても自己保身から理不尽な命令に屈服する者が多くなる。そのため、“プチ佐川”ともいうべきパワハラ上司が水を得た魚のようになってしまうのだ。
それをうかがわせるのが、心を病んでいる国家公務員の多さだ。平成28年度の人事院のデータによると、メンタルヘルスを理由に1カ月以上休職している国家公務員は全職員27万6585人の1.26%にあたる3495人。この割合は、厚生労働省が調査をしている全産業での数値のおよそ3倍となっている。
では、このような問題を解決するためにはどうすべきか。
個人的には「終身雇用」という幻想にさっさと見切りをつけて、「組織にしがみつかない働き方」を当たり前になるようにしていくしかないと考えている。
日本人は何かとつけて「終身雇用は日本の強み!」「終身雇用のおかげで日本は経済大国になれた!」と、組織に長くしがみつくことを必死で自己正当化してきたが、不思議な社会主義的なシステムのせいで、諸外国の中でも突出して労働者の満足度が低くなっており、常軌を逸したパワハラや中年労働者の自殺も横行しているという動かしがたい事実もあるのだ。
終身雇用が崩壊すれば、自然とパワハラ上司は減っていく。当然だ。これまで彼らがデカい顔ができたのは、理不尽な要求に屈する部下がいてくれたからで、それは組織にしがみつくという目的があったからだ。それがもはや存在しなくなれば、イキったおじさんの理不尽な命令に従う理由もない。不正な行為だと内部告発をしてもいい。無視をしてさっさと辞表を提出して、まともな上司のいる組織に移ってもいい。組織よりも自分のキャリアを優先するようになるので、パワハラに付き合う必要がなくなるのだ。
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