なぜ「日本の上司」は、“下に理不尽な要求をするおじさん”が多くなってしまうのか:スピン経済の歩き方(4/6 ページ)
「上司が理不尽な要求ばかりしてきて、悩んでいる」といったビジネスパーソンも多いのでは。それにしても、なぜ日本の上司は“信じられない要求”をしてくるのか。筆者の窪田氏はこのように分析していて……。
閉鎖的な組織の特徴
そしてこの流れがさらに強硬で陰湿になってしまうのが、新卒から定年退職まで過ごすプロパーが多い閉鎖的な組織だ。
その代表が、赤木さんを死に追いやった財務省である。この組織は2019年、国家公務員総合職の社会人採用を7年ぶりに再開し、今年4月に、民間金融機関出身の30代男性が「中途入省」することが内定したとニュースになった。
なぜどこの会社でもやっている中途採用がこんなに注目されるのかというと、社会人採用を実施したのが、大蔵省時代を含め過去に3人だけだからだ。「官僚の中の官僚」「最強の官庁」などとおだてられているが、なんのことはない、よそ者を頑なに拒む学歴エリートたちが、事務次官というイスを目指してドロドロの権力争いを繰り広げている「ムラ社会」に過ぎないのだ。
このような閉鎖的な社会のなかで30年以上も生きていかなければいけない人たちは、ムラの有力者には絶対に逆らえない。どんなに理不尽な命令であっても、どんなに社会の一般常識から逸脱された不法行為であっても、有力者が「やれ」と命じたことを跳ね返すことはできない。もしそれをやったら出世コースから外れるどころか、残りの官僚人生で、地方のドサ回りをさせられるなど陰湿な嫌がらせが待っているからだ。
ここまで言えばもうお分かりだろう、このムラの有力者が佐川氏だ。我々のような外の人間からすれば、どんな無理筋な言い訳も鉄面皮で押し通すことができるハートの強いおじさん、くらいのイメージしかないが、その世界に住む人間には「逆らう=死」というほどの恐怖の対象なのだ。
だから、誰も赤木さんを助けなかった。森友学園にまつわる文書の改ざんを日曜日に命じられた、赤木さんは激しく抵抗して、近畿財務局の幹部にも直談判したという。しかし、財務省内でもコワモテで知られていた佐川氏からの要求を跳ね返せる人はおらず、結局はみな沈黙をした。
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