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新型コロナで増える「パワハラ」 “悲劇の温床”を放置する経営トップの責任河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(5/5 ページ)

新型コロナ問題でパワハラが増えるのではないかという懸念が広がっている。人は環境によって被害者にも加害者にもなり得る。経営が厳しくなることは避けられないが、「人」を軽視すると、弱い立場の人の命が奪われることになるのを忘れてはいけない。

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労働者は人格を提供しているわけではない

 もちろんパワハラは二者間で行われるものですが、人は環境で変わるし、環境が働き方を作ります。いったん始まったパワハラはまるでスイッチが押された機械のように繰り返され、エスカレートし、周りの人たちは火の粉がかからないように息をひそめ、被害者は孤立し、いっそう追い詰められる。

 そういった状況を生まない企業経営をトップはしているのか? トップの責任がもっと問われて当然です。働く人は労働力を提供しているのであって、人格を提供しているわけではありません。

 新型コロナ騒動で経営が厳しくなることは避けられないこととは思いますが、その「当たり前」を決して忘れないでほしいのです。偉い人たちの「人」を軽視した思考の結果が、弱い立場の社員の命を奪う……ということを。

河合薫氏のプロフィール:

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 東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。

 研究テーマは「人の働き方は環境がつくる」。フィールドワークとして600人超のビジネスマンをインタビュー。著書に『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアシリーズ)など。近著は『残念な職場 53の研究が明かすヤバい真実』(PHP新書)、『面倒くさい女たち』(中公新書ラクレ)。2019年5月、新刊『他人の足を引っぱる男たち』(日経プレミアシリーズ)発売。


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