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スシローとくら寿司 「価格帯」と「シャリ」から見えた戦略の“決定的”な違いとは飲食店を科学する(5/6 ページ)

大手回転寿司チェーンのスシローとくら寿司。標準的な寿司の重さはほぼ一緒。しかし、価格とシャリの違いから戦略の違いが見えてきた。

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売り上げアップの原理原則

 両社の戦略分析を行う上で、皆さんに1つ覚えて頂きたいのが、飲食店における売り上げアップの法則です。


売り上げアップの原理原則(筆者作成)

 飲食店の売り上げは客数×客単価で決まります。そして客数は「(1)新規客」+「(2)リピート客」の合計であり、客単価は「(3)1品単価」×「(4)オーダー数」で決まります。つまり、飲食店において売り上げを上げる方法は、大きく分けると次のようになります。「(1)新規客」を増やす、「(2)リピート客」を増やす、「(3)1品単価」を上げる、「(4)オーダー数」を増やすの4つです。

 この売り上げアップの法則を念頭に置いた上で、改めてスシローとくら寿司の戦略を見ていきます。

 先ほど触れた、くら寿司の「シャリハーフ」メニュー戦略。このシャリハーフメニューは、糖質を気にする顧客にとってはとてもうれしいサービスです。一方で、企業側にとってもシャリの量が減るとコストを抑えることができますし、何よりも顧客が食べる皿数が増えるという効果もあります。単純にシャリの量が半分になった場合、1貫の重量はネタ8.5グラム+シャリ半分7.5グラム=1貫16グラムとなり、成人が1食で食べる平均重量約450グラム÷1皿32g(2貫)=14皿となり、理論上は通常の大きさのシャリのお寿司よりも4皿程度余分に食べられることになります。

 さらに、くら寿司には食べ終わったお皿を5枚投入するとくじが引ける「びっくらポン」というシステムがあります。お子さんと来店した際、ついついクジ引きをしたいがあまり、追加オーダーをしてしまったという経験が皆さんにもありませんか?

 つまり、くら寿司は売り上げアップの法則の「(4)オーダー数アップ」を重点戦略としていることがうかがえます。

 一方でスシローに関しては、先ほどのメニュー分析で分かったように高単価の寿司メニューの展開に力を入れています。同社の経営計画を見ても、高価格メニューの開発戦略について記載されています。つまり、スシローは売り上げアップの法則の「(3)一品単価アップ」戦略を採用していることが分かります。

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