新型コロナでしぼむ個人消費に、食品添加物が“特効薬”となるかもしれないワケ:小売・流通アナリストの視点(3/4 ページ)
徐々に広がる新型コロナウイルスの影響。経済への影響を軽減するには、人が集まる場の除菌が重要だ。小売・流通アナリストの中井彰人氏は、製造現場でも使われている「あるもの」が有効かもしれないと指摘する。
手洗いにも噴霧にも有効?
消費者が生で口にする青果(サラダやカット野菜)の殺菌洗浄において、次亜塩素酸ナトリウム使用の場合、水での再洗浄が必要であるが(人体に有害なため)、食品添加物である微酸性電解水を使用すれば、そのまま出荷できるというメリットがあり、大手コンビニのベンダーなどでは重宝されている。また、この殺菌法だと、人体へと同様、生野菜の細胞壁へのダメージが少ないため、野菜の「シャキシャキ感」が保たれるという効果があるというから興味深い。
ちなみに、こうした高い殺菌効果を持ちながら人体に無害なのは、微酸性電解水の殺菌成分である次亜塩素酸(HOCL)が、体内の免疫細胞が外敵を殺菌する際に使用する殺菌成分と同じだからとされている。病気のとき、われわれが高熱をだすのは、体温を上げて免疫細胞の戦いを応援しているということなのだが、その背景は、HOCLが温度40度あたりで最も活性化するためであるらしい。
この殺菌剤が、今回の新型コロナウイルスとの戦いに役立つかもしれないと考えられるのは、「直接、手洗いに使える」ということと、「噴霧して空間殺菌にも使える」ということからだ(詳しくは微酸性電解水協議会「新型コロナウイルスに対する微酸性電解水についてのQ&A」をご参照願う)。まだ、新型コロナウイルスに対する実験データはないとのことだが、インフルエンザウイルスに対して短時間で不活化効果があるといい、ウイルス研究・感染症の専門家である西尾治愛知医科大学医学部客員教授は「微酸性電解水は新型コロナウイルスを有効に不活化できると推定されます」ともコメントしている。
既に食品業界において、この殺菌剤を導入した事例では、手洗い器を設置して、工場従業員の殺菌の徹底を行ったり、工場の作業場空間内への噴霧で空間殺菌を実施している。前掲のQ&Aでも触れられているが、この殺菌剤の噴霧による空間殺菌の効果があることが知られており、これを工場から集客空間に転用することで、来場してもらうべき消費者に対して、より安全性を担保し、またアピールすることが可能なのではないか。
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