新型コロナでしぼむ個人消費に、食品添加物が“特効薬”となるかもしれないワケ:小売・流通アナリストの視点(2/4 ページ)
徐々に広がる新型コロナウイルスの影響。経済への影響を軽減するには、人が集まる場の除菌が重要だ。小売・流通アナリストの中井彰人氏は、製造現場でも使われている「あるもの」が有効かもしれないと指摘する。
ウイルスの不活化がカギを握る
ウイルス対策としてこうした集合を規制せざるを得ないのであれば、経済的な停滞が長期化し、広範囲に及ぶのは避けられない。
ただ、人が集まる空間において、ウイルスの除菌が可能になれば、こうした自粛措置を緩和したり、消費者が避けるといった状況を改善できるはずだ。現時点での当局の対策マニュアルでは、原則、手洗いの励行とマスクの着用及び、アルコールや塩素系殺菌剤による拭き掃除などが推奨されている。「空間のウイルス除菌」というのは効果が明確ではないからであろうが、こうした対策の中には入っていない。
しかし、このマニュアルの趣旨を踏まえると、アルコールや塩素系殺菌剤でウイルスを不活性化できるということであり、このウイルスもそうした殺菌剤を接触させることで除菌することはできるのだ。では、なぜ、こうした殺菌剤で空間除菌を行わないかというと、殺菌剤を空間に充満させれば人体の健康に悪影響が及ぶため、そうした使い方ができないからなのである。次亜塩素酸ナトリウムに代表される塩素系殺菌剤の除菌効果は高いと認められているが、吸気すると悪影響があり、皮膚に付着すると危険なので、空間殺菌のような使い方はしないよう定められている。ただ、こうした明確に危険性のあるもの以外にもウイルスの除菌効果があり、人体への影響がほとんどない殺菌剤も実は存在している。例えば、食品衛生の世界では、ある程度普及している「微酸性電解水」がそれである。
微酸性電解水とは、「塩酸、または塩酸に塩化ナトリウム水溶液を加えて適当な濃度に調整した原液を無隔膜電解槽で電気分解することにより得られる次亜塩素酸を主成分とする水溶液で、希釈したpH5.0-6.5及び有効塩素濃度は10-80ppmを示す殺菌作用が高い電解水である。食品分野では、食品添加物の次亜塩素酸ナトリウムより低い有効塩素濃度で殺菌力を高められるため、より安全性を確保し、コストや環境への負荷を軽減できるという特徴がある。厚生労働省は微酸性電解水に対した調査を行い、その安全性を確認し、2002年4月に食品添加物に指定した。微酸性電解水の成分は分子状次亜塩素酸が98%含有され、高い殺菌力を持つ。分子状次亜塩素酸の割合が多いため、遮光容器では長期保存が可能である」(Wikipedia「微酸性電解水」より)とされている。
要は、人が飲んでも食べても無害であるが、ウイルスや菌に対して高い殺菌力があり、さらに「厚生労働省が食品添加物として認める安全性が担保された殺菌剤」だというものだ。この殺菌剤は、森永乳業の「装置開発研究所」所長であった土井豊彦氏(現在は、微酸研という株式会社を創業し、取締役会長を務める)が、次亜塩素酸ナトリウムのさまざまな危険性を改善するために研究開発し発明したというもので、現在は食品衛生管理の世界で、ある程度普及している殺菌素材であり、大手食品メーカーなどの製造工程などでも広く使用されている。
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