「人材派遣」は“不遇な働き方”は本当か? データと資料が解き明かす、知られざる実態と課題:連載・「人材サービス」が滅ぶ日は来るのか?(4/7 ページ)
2019年、就活サイトの内定辞退率問題で注目を集めた「人材サービス」だが、今その公益性が問われている。しかしながら、ひとくちに「人材サービス」といっても、その実態はなかなか分かりづらいのが現状だ。今回は、誤解の多い人材派遣について「人材サービスの公益的発展を考える会」を主催し、「人材サービス」に詳しい川上敬太郎氏が解説する。
かつて派遣社員の賃金はアルバイトの2.5倍、正社員と比較してもやや高かった
その後、日本国内からも多くの派遣事業者が誕生していきます。人材派遣業界黎明(れいめい)期の様子をつづった小冊子『派遣前夜』には、国が人材派遣の法整備に動き出した経緯が記されています。以下は、5人の大学教授からなる労働省(1978年当時)のワーキンググループが実態調査した際、当時業務請負業として事務処理サービス(人材派遣の前身)に従事していた職員の賃金に関して驚く一幕です。
話が賃金のことに及ぶとその支給額の高さに「ホー」と言う声が漏れたのを覚えている。一般事務の賃金が、アルバイトの2.5倍であり、正社員雇用で働いている一般の事務員の給料と比較してもやや高いものであった。
(竹内義信『派遣前夜』 8ページより引用)
当時、正社員と呼ばれる働き方より高い費用を払ってでも依頼するほど、ニーズがあったことが伺えます。また、派遣社員として働く動機の一つとして、「自分の能力を生かし、限られた者達だけが対応できる高度な仕事に就労する満足感もあったと思う」という記述もあります。
必要なスキルを有した人材が、必要なときに必要な期間だけ働く。人材派遣とは、元来そういう働き方を求職者にも、企業にも提供するサービスなのです。
初めて訪れる会社にサッとやってきて、時間内に仕事を終わらせてサッと帰っていく。4月から13年ぶりに続編が始まるドラマ「ハケンの品格」の主人公、大前春子さんは、あまりに能力がスペシャルではありますが、この派遣社員の特徴をよく表していると思います。
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