新型コロナで延期となった東京五輪 「無観客」でも分かれた各界の対応と問われる「スポーツビジネス」の本質:池田純のBizスポーツ(1/3 ページ)
新型コロナウイルスの影響で延期が決まった東京五輪・パラリンピック。図らずとも、大相撲やプロ野球などの各スポーツが、どの方向を向いているのかが可視化された。埼玉ブロンコスオーナー/横浜DeNAベイスターズ初代球団社長、池田純氏が解説する。
連載:池田純のBizスポーツ
プロ野球・横浜DeNAベイスターズの初代球団社長で、スポーツによる地域活性化などに取り組む一般社団法人さいたまスポーツコミッションの会長、バスケットボール男子Bリーグ3部(B3)埼玉ブロンコスのオーナーを務める池田純氏が、スポーツビジネスの裏側に迫る連載「Bizスポーツ」。第3回は「新型コロナウイルスとスポーツビジネス」をテーマに、そこから見えてくるスポーツ界の本質を探る。
新型コロナウイルスの感染拡大により、ついに東京五輪・パラリンピックの1年程度の延期が決まりました。ここまで「2020年」を目指してきたスポーツ界の盛り上がりが、一気にしぼんでしまいかねない状況です。今、スポーツ、そして興行の世界はかつてない困難に直面しているといえるでしょう。
男子バスケットボール「Bリーグ」の3部(B3)に属する埼玉ブロンコスの株式を取得し、オーナーに就任した私にとっても、対岸の火事ではありません。政府は早くスポーツや興行の世界、五輪の延期によって資金繰りが悪化する企業に対して、セーフティーネットとなる制度を細かく発表し、説明してもらいたい、というのが切なる思いです。スポーツ、興行は今や第3次産業の範ちゅうを超え、背負っているものが大きくなっていることを忘れてはいけません。
一方で、今回の事態で浮き彫りになることもあります。それは、各競技や組織が「どこを向いているのか」「誰のためにあるのか」ということです。例えば大相撲。無観客で行われた春場所の中継をNHKで見ましたが、ある種異様な光景といえるものであったと同時に、興行の世界とは出自を異にする“神技”としての一面を感じられたのは、それはそれで驚きであり、学びでもありました。対照的に、プロ野球やJリーグは開幕、リーグ再開において、まず「無観客」ではなく「延期」という選択をしました。
私が11年12月に横浜DeNAベイスターズの球団社長に就いた際、最初に野球界に長くいた人から言われた印象的な言葉があります。
関連記事
- ソフトバンク、楽天、DeNA ……IT企業とスポーツビジネス “三社三様”の関わり方
スポーツとビジネスに詳しい池田純氏の新連載。昨今、IT企業が続々とスポーツに参入している。プロ野球ではソフトバンク、楽天、DeNAが球団を経営。他にはミクシィ、アカツキ、メルカリといった名だたる企業がスポーツ業界に参入し始めている。まずはプロ野球3球団の例から、背景を読み解く。 - ここにきて、プロ野球以外でもIT企業が続々とスポーツビジネスに参入するワケ 「ITスポーツ第2世代」の狙いに迫る
楽天、ソフトバンク、DeNAに続き、IT企業のプロスポーツ参入が増えている。メルカリ、ミクシィ、サイバーエージェントら「ITスポーツ第2世代」の狙いはどこにあるのだろうか? そして、どのような未来が待っているのか? 横浜DeNAベイスターズの初代球団社長、池田純氏が斬る。 - 品薄のマスク、ここで買えます 「在庫あり」のお店だけ、1枚の値段が安い順に表示するWebサイトが登場
新型コロナウイルス感染拡大の影響で品薄状態が続くマスク。花粉症のシーズンにもなり、深刻さが深まる。そんな中、在庫と価格、1枚当たりの価格を検索できるサイトが登場した。その名も…… - テレワークで浮いた時間、どうする? 誰にも文句を言わせない「サボり方」を伝授する
働き方改革、新型コロナウイルスの影響もあり、ようやく浸透し始めたかに見えるテレワーク。「サボれる」と思う人も、部下に「サボられる」と思う人もいるのでは。企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタント、横山信弘氏がどこにも角が立たない「サボり方」を伝授する - eスポーツ、高校でも普及するか 全国高等学校eスポーツ連盟が乗り越えるべきハードルと見習うべき「米国モデル」
全国高等学校eスポーツ連盟(JHSEF)が11月1日に発足。eスポーツに関する啓発活動などを交え、保護者や教師などに存在する「eスポーツ=ゲーム」という認識を払拭(ふっしょく)していくという。海外にを移すと、米国では学術的調査やビジネスとの関連付けで着々と加盟校を増やしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.