新型コロナで延期となった東京五輪 「無観客」でも分かれた各界の対応と問われる「スポーツビジネス」の本質:池田純のBizスポーツ(2/3 ページ)
新型コロナウイルスの影響で延期が決まった東京五輪・パラリンピック。図らずとも、大相撲やプロ野球などの各スポーツが、どの方向を向いているのかが可視化された。埼玉ブロンコスオーナー/横浜DeNAベイスターズ初代球団社長、池田純氏が解説する。
プロスポーツとオリンピックの違い
「俺たちはオリンピックをやっているんじゃないんだ」
ベイスターズでは、試合前の選手にファンサービスをしてもらったり、イニング間にはファンがグラウンドでフライをキャッチするイベント(「ドッカーン! FLYCATCH」)などを行うことで、その枠にスポンサーをつけたりしました。それができたのは、まさにこの言葉が考え方の根底にあったからです。
オリンピックを開催しているのではなく、スポーツエンターテインメント、昔の言葉で言えば興行をファンの皆さんに提供しているという意識があったからこそ、これまでタブーとされてきたことに迷わず取り組むことができたのです。平和を願い、国を背負ってメダルの色を競うオリンピックなら話は違うかもしれません。しかし、プロスポーツは結果や順位だけを見せているわけではないのです。
スポーツは誰のためにあるのか。米プロバスケットボールNBAの看板選手、レブロン・ジェームズが3月27日にPodcastの番組に出演し、発信した言葉も象徴的でした。
「ファンがいない中でスポーツと呼べるのか。(無観客なら)そこに興奮はないし、歓喜すらない」
レブロン・ジェームズは過去にも「ファンがいないなら俺はプレーしない」という趣旨の発言をAFP通信などにしていましたが、プロスポーツがライブエンターテインメントビジネスとして成熟している米国では、それだけファンの存在が大きく、ファンのほうを向いて成り立っているということです。
関連記事
- ソフトバンク、楽天、DeNA ……IT企業とスポーツビジネス “三社三様”の関わり方
スポーツとビジネスに詳しい池田純氏の新連載。昨今、IT企業が続々とスポーツに参入している。プロ野球ではソフトバンク、楽天、DeNAが球団を経営。他にはミクシィ、アカツキ、メルカリといった名だたる企業がスポーツ業界に参入し始めている。まずはプロ野球3球団の例から、背景を読み解く。 - ここにきて、プロ野球以外でもIT企業が続々とスポーツビジネスに参入するワケ 「ITスポーツ第2世代」の狙いに迫る
楽天、ソフトバンク、DeNAに続き、IT企業のプロスポーツ参入が増えている。メルカリ、ミクシィ、サイバーエージェントら「ITスポーツ第2世代」の狙いはどこにあるのだろうか? そして、どのような未来が待っているのか? 横浜DeNAベイスターズの初代球団社長、池田純氏が斬る。 - 品薄のマスク、ここで買えます 「在庫あり」のお店だけ、1枚の値段が安い順に表示するWebサイトが登場
新型コロナウイルス感染拡大の影響で品薄状態が続くマスク。花粉症のシーズンにもなり、深刻さが深まる。そんな中、在庫と価格、1枚当たりの価格を検索できるサイトが登場した。その名も…… - テレワークで浮いた時間、どうする? 誰にも文句を言わせない「サボり方」を伝授する
働き方改革、新型コロナウイルスの影響もあり、ようやく浸透し始めたかに見えるテレワーク。「サボれる」と思う人も、部下に「サボられる」と思う人もいるのでは。企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタント、横山信弘氏がどこにも角が立たない「サボり方」を伝授する - eスポーツ、高校でも普及するか 全国高等学校eスポーツ連盟が乗り越えるべきハードルと見習うべき「米国モデル」
全国高等学校eスポーツ連盟(JHSEF)が11月1日に発足。eスポーツに関する啓発活動などを交え、保護者や教師などに存在する「eスポーツ=ゲーム」という認識を払拭(ふっしょく)していくという。海外にを移すと、米国では学術的調査やビジネスとの関連付けで着々と加盟校を増やしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.