軽減税率で優遇される「新聞」が今こそやるべき、新型コロナ情報の“無料化”:世界を読み解くニュース・サロン(2/6 ページ)
新型コロナウイルスと戦う上で重要なのは「情報」。デマやフェイクニュースではなく、信頼できる情報が必要だ。海外では大手新聞がニュースを無料提供している例もある。軽減税率が適用されている日本の新聞社にも“公共性”を発揮する取り組みを見せてほしい。
カナダの有力紙、ファストフード店で新聞を無料提供
まずはカナダだ。
カナダでは、1月に世界的に新型コロナウイルスの感染が広がっている事態を受けて、空港で検疫強化を始めた。その矢先の1月22日、中国の武漢から帰国した50代男性が感染していたことが判明。それから徐々に感染者が増え、ジャスティン・トルドー首相の妻が感染したことが大きく報じられた。
4月7日現在、カナダの感染者数は1万5790人で、死者数は293人に上る。感染者数はまだ増え続けており、国内の全ての地域に非常事態宣言が出され、集会が禁止されて学校が休校になっている。ほとんどのレストランやバーでも、座って飲食することはできない状態だ。
そんなカナダで3番目に大きな有力紙であるナショナル・ポスト紙が4月1日、こんな記事を掲載した。
「今ほど、カナダ人が正確で信頼できる情報を渇望している時はない。(ナショナル・ポスト紙の発行元である)ポストメディア社では、何十年、いや、何世紀にもわたってそんな情報を読者たちに提供してきた。誤った情報や、人をだまそうとするガセなどがそこら中にある今、ニュースを得るのに私たちの新聞を選んでくれる人たちがいることを誇りに思う」
記事は続く。「そして今、カナダのファストフードチェーンである『Mary Brown's Chicken & Taters』との協力によって、私たちは価値ある信頼できるニュースと情報の全てを、無料で提供することにした」
「Mary Brown's Chicken & Taters」は、カナダで170店舗を展開する有名なフライドチキンのファストフード店である。ポストメディア社はそのファストフードチェーンと手を組んで、同社が発行するいくつもの新聞を4月の終わりまで無料で提供すると発表した。ナショナル・ポスト紙の公式サイトでも、全ての記事が無料で読めるのである(新聞によって無料期間は変わる)。
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