緊急事態宣言でも休めないコンビニ加盟店、新型コロナと「命がけの戦い」ルポ: コンビニオーナー“大反乱”の真相(4/4 ページ)
新型コロナによる緊急事態でも休めないコンビニ。「社会インフラ」として加盟店は不安を抱えつつ営業を続ける。本部に先んじて独自の対策を打ち出した現場の迫真ルポ。
「リスク背負うコンビニに行政の支援を」
国や自治体に望むことを聞いてみると、Aさんはこう話した。「小池(百合子)都知事は休業要請に応えた事業者に(感染拡大防止)協力金を払うことを検討しているそうですが、リスクを背負って店を開けているコンビニには何もない。こういう事態なので店を開け続けたいとは思うのですが、何の支援もないと、私たちって何なのかなと感じてしまいます」。
コンビニ加盟店ユニオンの酒井さんも、「政府は中小企業向けの貸し付けを案内していますが、コンビニはもともと借金(いわゆるオープンアカウント)を抱えているので、怖くてこれ以上借り入れできません。何とか給付型支援を英断してほしい」と語る。
4月5日、高知県内のファミリーマートで店長と従業員2人の感染が分かった。店長は15日連続で勤務していた。感染とは直接関係ないかもしれないが、過労でなかったか気にかかる。
協力工場や物流も感染リスクから無縁ではない。大手コンビニ関係者は「協力工場が感染で止まることもありえます。近隣の協力工場から品物を回すにしても、東日本大震災の時のように一部商品の欠品は避けられないでしょう」と心配する。
コンビニが店を開け棚にたくさんの商品が並ぶ。そんな「当たり前」は、加盟店オーナーやアルバイト、サプライチェーンのぎりぎりの努力で維持されている。
著者プロフィール
北健一(きた けんいち)
ジャーナリスト。1965年広島県生まれ。経済、労働、社会問題などを取材し、JAL「骨折フライト」、郵便局の「お立ち台」など、企業と働き手との接点で起きる事件を週刊誌、専門紙などでレポート。著書に『電通事件 なぜ死ぬまで働かなければならないか』(旬報社)、『その印鑑、押してはいけない!』(朝日新聞社)ほか、共著に『委託・請負で働く人のトラブル対処法』(東洋経済新報社)ほか。ルポ「海の学校」で第13回週刊金曜日ルポ大賞優秀賞を受賞。
関連記事
- 東京都知事の外出自粛要請は本当に効いたか――ビッグデータから意外な結果判明
3月最後の土日に出された都知事の外出自粛要請。実際にどの程度効果はあったか。消費者行動のビッグデータで分析した。 - 新型コロナで外出自粛でも「買い物・旅行」、60代が最も活発――若者は自粛傾向だが……
新型コロナで週末など外出自粛要請が続く。この状況下でも他の年代より60代が最も「外出」に積極的という結果がアンケート調査から明らかに。 - 新型コロナでも日本企業が社員に「テレワークさせなかった」真の理由
正社員のテレワーク実施率が13%止まりと判明。新型コロナでも改まらない日本企業の制度不備。専門家がその真因を分析する。 - 新型コロナ対策で露呈 「社員から確実に見放される企業」とは?
各社で大きく分かれる新型コロナ対策。対処ができなければ「従業員に見放される」可能性も。危機にこそ組織の本質が問われる。 - 脱24時間で息吹き返したセブン加盟店、密着ルポで迫る「時短営業の意外な現実」
コンビニ業界に脱24時間化の激震が走る。最大手・セブンのとある時短実施店に筆者が密着ルポ。意外な実像から浮かび上がる「コンビニの未来像」とは。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.