緊急事態宣言でも休めないコンビニ加盟店、新型コロナと「命がけの戦い」ルポ: コンビニオーナー“大反乱”の真相(3/4 ページ)
新型コロナによる緊急事態でも休めないコンビニ。「社会インフラ」として加盟店は不安を抱えつつ営業を続ける。本部に先んじて独自の対策を打ち出した現場の迫真ルポ。
トイレ・イートインの「自主閉鎖」も
千葉県内のあるファミリーマートでは、感染予防のためにトイレとイートインを自主的に閉鎖した。オーナーのBさんは、「トイレは密閉空間で感染を防ぐのは難しいでしょう。近くに公衆トイレもあるので。イートインも、高校生たちが集まる場になっていたので密集、密接を避けるため閉じました。お店の前にはベンチを置いていますが」と説明する。
トイレを閉鎖するコンビニは少しずつ増えている。Aさんの店でもトイレを閉め、3日前からイートインコーナーも夜間閉鎖にした。ただ、他店からは「トイレをクローズにしたところお客様から『トイレ閉めるなら店も閉めろ』と言われた」と、Bさんは聞いた。来店客の理解度にはまだ温度差があるようだ。
Bさんの店では、正面のドアを雨の日以外は開けっぱなしにし、換気扇もフル回転で換気に努め、レジなどは小まめにアルコール消毒している。ごみ捨ての際は使い捨ての手袋着用を徹底。「お店に滞在する時間を短くするため、アルバイトには『終わったら早く帰れ、早く(も)来るな』と言っています」とBさんは言う。
加盟店関係者によると、ファミリーマートでは4月7日から700円以上購入した客に、箱に入ったくじを引いてもらうキャンペーンを本部が計画していた。不特定多数の人が箱に手を入れかき回すことになる。感染リスクを懸念したBさんは「当店では実施しない」と本部に伝えた。SNS上でも批判を浴び、ファミリーマート本部は6日、くじ中止を加盟店に対して緊急連絡したという。
Bさんの店を取材したのは夕方。「いつもだったら今頃は高校生で混むんですが、学校も休みなので」とBさんが呟いた。
緊急事態宣言で経済活動が収縮するなかでも近所のコンビニは開いていて、生活に必要なものがいつでも買える安心感は大きい。そんな私たちの、社会の期待に応えるために、日販(毎日の売り上げ)が落ち込む中でも、感染防止と営業継続の両立にコンビニの現場は知恵を絞っている。
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