新型コロナ対策108兆円が確実に「見掛け倒し」で終わる訳:“いま”が分かるビジネス塾(1/3 ページ)
新型コロナ対策で国は108兆円の経済対策を発表。だが筆者はその「見掛け倒し」な内実を分析。給付金ですら満足に行きわたらない可能性も。
新型コロナウイルスに対応するため、政府が総額約108兆円の経済対策を取りまとめた。安倍首相は「世界的に見ても世界最大級の経済対策」「これで国民の生命と生活を守り抜く」と胸を張ったが、金額が小さすぎるとの批判が続出している。GDP(国内総生産)の2割にも達する規模でありながら、金額に関して批判が出ているのは、108兆円というのは実はハリボテとなっており、実質的には10兆から20兆円程度の効果しか見込めないからである。
108兆円の内実が「ショボい」カラクリ
安倍政権は2020年4月7日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急経済対策を閣議決定した。事業規模の総額は108兆円となっており、日本のGDPの2割に達する。確かに表面上の数字だけを見れば、これまでにない規模の経済対策といってよいだろう。
ところが、この経済対策にはあちこちから金額が小さいとの批判の声が出ている。
GDPの2割に達する金額をコロナ対策に支出することを決定したのは、主要国では米国とドイツだけなので、経済規模の比較で考えれば、安倍氏が主張するように世界最大級ということになる。だが、108兆円という数字にはカラクリがあり、実質的な支援金額はかなり少ない。これはどういうことだろうか。
この経済対策は、実施する時期に関して2つのフェーズに分かれている。1つは「緊急支援フェーズ」、もう1つは「V字回復フェーズ」である。V字回復フェーズで想定されている内容を見ると、観光、イベント、エンタメ業界などを対象とした消費喚起キャンペーンや、国内旅行費用の補助といった項目が羅列されている。これらの項目は新型コロナウイルスの感染が完全に終息しないと支出できないものなので、現時点における即効性はない。
即効性がある対策として、最も大きいのは「雇用の維持と事業継続」という項目で、減収世帯を対象とした30万円の給付、中小企業や個人事業主に対する給付、資金繰りの支援策、納税・社会保険料支払い猶予、などである。だが、ここで注意しなければならないのは、企業に対する融資や一時的な猶予など、直接的な支出にならない項目がたくさん含まれていることである。
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