新型コロナでどう変わるのか? 食品スーパーの未来:米国に学ぶ(4/4 ページ)
新型コロナの感染拡大で、食品スーパーが大きく変わろうとしている。日本でも営業時間を短縮したり、入場を制限したりしているが、米国ではどのような取り組みをしているのか。大手3社の事例を見ると……。
大手「Walmart」のアプリ
このように食料品のオンラインオーダーなどが急激に増えている状況を、ビジネスチャンスと見ている食品スーパーもある。小売大手のWalmart(ウォルマート)だ。
ウォルマートが提供するモバイルアプリの「Walmart Grocery」は、米国のショッピングアプリのダウンロード数でランキング1位になるほど利用者が急増している。新型コロナで外出制限が出される前の1月とその後の4月で比較すると、「Walmart Grocery」の1日の平均ダウンロード数は460%増と驚異的な伸び率になっている。
現在ウォルマートでは、食料品のオンラインデリバリーに対応しているストアが全米で1600店舗、ストアピックアップに対応しているのが3200店舗ほどある。同社には確立した既存のインフラがあるが、それでもサービスの提供に遅れが生じており、商品の欠品は避けられない状態になっている。その状況を緩和させるために、流通センターやオンラインオーダーに対応するスタッフを新たに15万人採用する予定だという。
また、インフラ整備のほかにも、ウォルマートは新たな試みを行う。多くの食品スーパーが高齢者や障害者、新型コロナの感染リスクが高い人、救急隊員や警察などを対象に、一般の人より早く実店舗に入店できる優先時間を設けている。
ウォルマートは、その優先時間をオンラインオーダーのピックアップにも広げるという。高齢者がオンラインオーダーをするのは、かなりチャレンジングではあるが、混雑した店舗を訪れたり、待ち時間が長いことを考えると避けては通れない変化になりそうだ。
そこで、ウォルマートは初心者向けに、オンラインオーダーの利用方法を説明したビデオを作成してサポートしている。
新型コロナがきっかけとなって、ビジネスのあり方や人々の行動パターンが大きく変化している。ネット通販で試着しないで服や靴を買うのが主流になったように、当たり前だった日常の買い物がネットに移行していく可能性がある。次にビジネスモデルが大きく変化するのは、食品スーパーかもしれない。
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