新型コロナでどう変わるのか? 食品スーパーの未来:米国に学ぶ(3/4 ページ)
新型コロナの感染拡大で、食品スーパーが大きく変わろうとしている。日本でも営業時間を短縮したり、入場を制限したりしているが、米国ではどのような取り組みをしているのか。大手3社の事例を見ると……。
流通に参入した「アマゾン」
次に食品スーパー業界で注目されているのが、ネット小売大手のアマゾンの動向だ。アマゾンは、2017年にオーガニック系食品スーパーのWhole Foods Market(ホールフーズ・マーケット)を買収して、本格的に食品スーパー業界に参入したばかりだ。
実は、アマゾンは密かに新しいコンセプトの食品スーパーをロサンゼルス近郊にあるWoodland Hillsにオープンする予定で、その新店舗が話題になっていた。
アマゾンといえば、「Amazon Go」のようにレジに並ばず商品を購入できる新型店舗を拡大している最中で、食品スーパーの新店舗も最新技術を導入するのかどうか注目されていた。ところが、新型コロナの影響で状況が変わったため、その新店舗のオープンを保留にし、食料品のオンラインオーダーに対応するウェアハウスとして一時的に運営することにした。
というのも、アマゾンの傘下にあるホールフーズでは、食料品のオンラインオーダーが急増していて対応が追いつかず、パンク状態になっているからだ。
現在、いくつかのホールフーズの店舗では、営業時間を短縮してオンラインオーダーの対応にあたっているが、消費者の需要に追いつかず多くの不満が寄せられている。そこで、オンラインオーダーの対応を強化するために、ビジネス体制を整えている。その一環として、既存店舗を一時的にオンラインオーダーのみを取り扱う店舗に転換するようだ。
まずは、ニューヨークシティの中心部にあるBryant parkの店舗をオンラインオーダーのみを取り扱う店舗に転換した。店舗の営業とネットオーダーの対応を同時に行う必要がなくなるため、オンラインオーダーの効率化が期待される。
また、新型コロナの感染リスクの観点からも、従業員の負担は軽減される。とはいえ、増え続けるオンラインオーダーのデリバリーやピックアップに訪れる買い物客の待ち時間を解消するのには、まだ少し時間がかかりそうだ。
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