「ポイントばら撒きブーム」に乗らない決済スタートアップの戦略(3/3 ページ)
ポイント還元を一切行わず、決済サービス事業を伸ばしているのが、Visaプリペイドの「バンドルカード」を提供するカンムだ。クレジットカードを持たず、ステータスも見いださない若年層。彼らに向けて、利便性の高いプリペイドカードサービスを提供する。
カードをステータスと見るのは40代以上
決済方法と向き合うスタンスは、年代によってかなり違っている。利便性を求める若年層に対して、一定の年齢以上には、クレジットカード業界が築いてきた「高級カード保有はステータス」という考え方も根強い。
「実感としては、40歳をさかいに、ステータス的な持ち物に対する考え方が変わっている」と八巻氏。三井住友カードがカードを券面番号レスにリニューアルしたことが話題になったが(1月15日の記事参照)、これに関心を持つのも一部の層だけだろうと八巻氏はいう。
バンドルカードは、アプリ内で即時発行できるバーチャルカードがメインだが、店舗で使いたいニーズも多少あるということでプラスチックカードも発行している。実は、券面番号レスのカードを、19年5月に日本で初めて発行したのはバンドルカードだ。
「券面の番号レスも、セキュリティの観点の話。99%のユーザーはそこに興味がない。実際、券面番号レスカードを出したからといって、(若年層を中心としたバンドルカードのユーザーは)全然増えなかった」(八巻氏)
ステータス性やカッコいいカードデザインより、利便性を重視する若者たち。世界的にも、カードをスマートフォンに登録して使う、Apple PayやGoogle Payの利用が急拡大している。そこには、ステータス性もカード券面デザインの良し悪しもない。
お金を扱うことからブランドの信頼性が重視され、与信枠を持っていることがカードの券面の色に現れるというステータス性が生まれた。しかし、デジタル化の進展は、もしかしたらこれらを過去のものに変えてしまうのかもしれない。
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