あなたの知らない「ツケで払う人」の世界:洋服、プロテイン、ネットアイドルへ“投げ銭”も(1/2 ページ)
クレジットカードを持たない人向けに「ツケ」で商品を買えるサービスが盛況。ただ、あるサービスのユーザーを調べると未成年より20〜30代が多く、プロテインなど不思議な物に使う人も少なくなかった。
欲しい商品があるが手元にお金がなく、クレジットカードは使えない。そんな人が商品を後払い、つまり「ツケ」で購入できるサービスが盛況だ。ZOZOTOWNの「ツケ払い」をはじめ、ECサイトなどが後払い決済の会社と組んで参入。クレジットカードを持たない未成年に人気の一方、軽い気持ちで手を出して滞納にあえぐ若者などが問題にもなっている。
是非は別として、使わない人にとっては「借金してまで欲しいモノって何?」と不思議なツケの世界。実際、「ツケユーザー」は何を買っているのか。4月に後払いサービス「『ポチッと』チャージ」を始めたカンム(東京都港区)に、ユーザーの実態を聞いてみた。
ネットアイドルへの「差し入れ」に使用?
カンムは元々、アプリ上で使えるVisaのプリペイドカードのサービス「バンドルカード」を運営している。コンビニでスマートフォンにお金をチャージしてVisa加盟店での支払いに使えるというもの。「ポチッと」チャージはそこに追加された、最大2万円分の買い物をツケで払える機能。支払いは翌月末までで、手数料は一度の利用額3000円〜1万円につき500円、11000円〜2万円で800円。ユーザーは数万人規模に達した。
同社の八巻渉社長によると当初の想定ユーザーは、未成年や主婦、定年退職した高齢者などクレジットカードを持ちにくい層。しかし、スタート後にユーザーを調査したところ10代は1割にも満たなかった。一方で主要層はなぜか20〜30代の男性会社員。「40〜50代も意外といる」(八巻社長)。
利用目的についても「生活費が少し足りないというニーズが主だと思っていた」(八巻社長)。しかし、カンムに寄せられた回答を分析すると、生活費に充てているユーザーは約4割。半分以上の人がさほど深刻でない目的で使っていることになる。
利用目的について「すぐにほしいもの、やりたいことがあった」と回答した人のうち、生活費に次いで多かったのはファッションやゲームへの課金。さらにユーザーの実態を分析すると、不思議な物をツケで買う例が見えてきた。
例えば、ある中高年ユーザーの回答にあったのは「ツイキャスへの課金」。ツイキャスは素人やネットアイドルなどによるライブ動画配信サービス。ユーザーは好きな配信者を応援するためお金を払い、実況中の動画の中で「差し入れ」と呼ばれるリアクションを取ることができる。いわばネットアイドルへの“投げ銭”だ。この支払いをツケで行ったとみられる。
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