あなたの知らない「ツケで払う人」の世界:洋服、プロテイン、ネットアイドルへ“投げ銭”も(2/2 ページ)
クレジットカードを持たない人向けに「ツケ」で商品を買えるサービスが盛況。ただ、あるサービスのユーザーを調べると未成年より20〜30代が多く、プロテインなど不思議な物に使う人も少なくなかった。
普通の人が普通に使っている?
ツイキャスと同様の動画配信サービス「SHOWROOM(ショールーム)」では実際に、動画の中で素人タレントが「私への課金のためにバンドルカードを使って」と言って話題になったことがあったという。クレジットカードでネット決済できない未成年に向けた言葉だと思われ、先述の中高年ユーザーも同じ理由でツケを使った可能性がある。八巻社長は「私たちも全く想定していない世界」と驚く。
ツケがよく使われたVisaの加盟店を分析すると、利用額ランキング上位にはAmazonなど大手ECサイトが並ぶ。その中で異彩を放つのが、ある海外のプロテイン専門サイト。運営側が疑問に思い調べると、「日本のプロテインの価格は比較的高め。海外製品を直接ECサイトに注文すれば安く手に入るが、代引きができずクレジットカード決済のみ。カードのない人がどうもうちを使っているらしい」(八巻社長)。
こうした不要不急に思える物について、ユーザーが手持ちが足りずツケで支払ったか、アプリにお金をチャージするのが面倒だったかまではわからない。だが「意外と普通の人が普通に使っているようだ」(八巻社長)。今回の調査でも、ユーザーの45%がクレジットカードを持っていると回答。クレジットカードを持ち、さほど生活に困ってもいないユーザーが、単に便利だから使っているケースもあると思われる。
徐々に減っていく消費者のツケへの抵抗感。一方で今後、運営側が利用限度額を上げれば、油断していたユーザーが負債を重ねる恐れも。ツケと消費者は上手に付き合えるのか。実はすぐそこまで迫った“後払い”できない問題なのかもしれない。
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