入居待ち6500人! デンマーク発のコンテナ住宅が熱望される理由:住民満足度90%(2/6 ページ)
デンマークの首都コペンハーゲンに、6500人もの学生が入居待ちをしている大人気の賃貸住宅が存在する。コンテナを使った集合住宅だ。なぜコンテナ住宅に住みたいと思っている学生が多いのかというと……。
コンテナに目を付けた背景
――マンションや一軒家を複数人で共有することで家賃を下げる「シェアハウス」とコンセプトは近いと思うのですが、なぜ住宅にコンテナを採用し、移動させる必要があるのでしょうか?
私たちが移動可能なコンテナに目を付けた背景には、コペンハーゲンの都市化の問題があります。都市に人口が集中しているため住宅コストは上昇し、多くの人は給料の多くを家賃にあてている。また、現代のコンクリートを使った建築方法は、環境保護の観点から見ても持続可能とは言えない。その上、都市に住む人々は、幸せよりも孤独やストレスを感じているという調査結果がある。この問題は今後数十年でますます大きくなるでしょう。
このような背景がある中で、私たちはコペンハーゲンで手頃な価格の学生用住宅が不足しているという大きな課題を知りました。物価の高いこの地では、手頃な学生用住宅が約2万2000戸も不足している。さらにスウェーデンでは約30万戸、ヨーロッパ全体では約400万戸が足りていない。とはいえ、中心地に近い場所に住宅を建てれば、コスト増はまぬがれない。
何か良い方法はないかと模索していたところ見つけたのが、5年や10年などの一定期間、使用予定がない土地の存在。コペンハーゲンを中心に点在するこれらの土地は、近い将来に開発が決まっていますが、現状は使用されず空き地になっています。
地図上の赤い点が該当する土地で、いずれもコペンハーゲンの中心地に近く、利便性が良い人気のエリアです。しかも、未使用の期間は格安で借りられる。だから、建築した住宅を取り壊さずに移動できれば、この場所を有効活用できる。その考えに基づいてたどり着いたのが輸送用コンテナでした。
中古のコンテナをリサイクルすれば環境保護につながる上に、土地が安いぶん、家賃を抑えられる。コミュニティーを作り孤独を防ぐことで、住民の幸福度も高められる。そして、土地の使用期限がきたらコンテナ住宅を大型トラックに乗せて、跡形を残さず別の土地に移動できる。これが私たちのビジネスモデルのカギであり、持続可能なライフスタイルのアイデアです。
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