3月のコロナ禍を乗り切ったKFCとモスバーガー 好調だった「シェアBOX」と「ライスバーガー」:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/5 ページ)
新型コロナの影響で外食チェーンの多くは3月に苦戦した。一方、KFCとモスバーガーは何とか乗り切った。なぜなのか。
上昇気流に乗ったまま3月を迎えたKFC
KFCの好調ぶりは、コロナ禍が襲来する前から突出していた。2018年12月から16カ月連続で、既存店売上高が前年を超えている。また、客数も16カ月連続、客単価は3カ月連続の前年超えとなった。つまりは、上昇気流に乗ったまま3月を迎え、勢いでコロナに打ち勝ったわけだ。
「これまでKFCはクリスマスのイメージが強かったのですが、18年以降は日常使いができる店づくりを目指して改革を進めてきました。今年1月からは500円のランチを定番化しています。全般にお客さまが増えたのが良かったのでしょう」(同社・広報)
KFCの19年度(19年4月〜20年3月)の既存店客数は前年度比110.1%、それに対して既存店客単価は同100.0%で、客数の増加が売り上げを押し上げている。既存店売上高は同110.1%であった。
3月の勝因として挙げられるのは、持ち帰り需要の増加を見越したキャンペーン商品「シェアBOX」(税込1500円、以下同)が、ファミリーに受けて好調だったこともある。
これは、オリジナルチキン4ピース、カーネルクリスピー6ピース、骨なしケンタッキー4ピース、ナゲット15ピースといったように、4種類のボックスから異なる2種類を選んで組み合わせられる企画。オリジナルチキンや骨なしケンタッキーの1ピースは250円なので、かなりお得なセットとなっていた。
シェアBOXを買った人は、ビスケットまたはポテト(S)を3個390円で付けられる。それぞれ通常は3個690円なので、これもお得だ。
また、3月4日に期間限定でサンドイッチの新商品「クアトロチーズサンド」(420円)が発売されている。この効果も大きかった。
これは、国内産チキンフィレと、4種類のチーズをブレンドしたまろやかで濃厚なソース、特製マスタードBBQソース、フレッシュオニオン、新鮮なレタスを挟んだバーガータイプのサンドイッチ。バンズは健康志向を意識して、全粒粉を使っている。4種類のチーズとは、クリームチーズ、ゴーダ、モッツァレラ、エメンタールパウダーを指す。
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