話題の「社員PC監視ツール」がテレワークを骨抜きにしてしまう、根本的理由:新連載・働き方の「今」を知る(4/4 ページ)
テレワークで従業員がサボらず仕事しているかを“監視”するシステムが話題になった。テレワークは本来「成果」を出すためなら「働く場所」を問わない制度のはず。こうしたシステムが出てくれば、テレワークが骨抜きになってしまい、生産性を高める「成果主義」が定着しない、と新田龍氏は指摘する。
富士通も、成果主義につまずいた
また「富士通」の例も有名だろう。同社が管理職を中心に成果主義を導入したのは1993年とかなり早期であった。その後全社員まで制度を広げ、年功序列を全廃している。
「個々の社員が決めた目標の達成度を半年ごとに上司が5段階評価し、報酬や昇格に反映する」という内容であったが、給与ダウンにつながる失敗を恐れるあまり、長期的な取り組みや高い目標にチャレンジする社員が減り、ヒット商品が生まれなくなったり、自分の目標に関係のない業務対応がおろそかになり、アフターケアなどの場面でトラブルが続出したりするなどの弊害が生まれてしまった。さらには、業績好調な事業所や目立つプロジェクトに属する社員が実質的に有利となり、不公平さを訴える声も上がったようだ。結果的に社員の士気は低下し、業績も悪化したことから、同社では短期的な成果だけを評価することを止めているようだ。
三井物産も富士通も、「超一流」といっていい企業だろう。それでも、成果主義の導入にはつまずいてしまった。この要因には「日本企業ならでは」なさまざまな要因がある。例えば、日本と成果主義が根付いているとされる諸外国とでは「そもそも」のところで労働市場の構造や雇用慣行が異なっている点が挙げられる。次回の記事では、この点を見てみるとともに、日本でも成果主義を導入して活用している事例を紹介し、成果主義を日本に定着させるための方策を検討していこう。
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